カラスとのやりとりであったよう、ミレトスは魔術師であっても協力しない。彼が心を許すのは知識くらいだろう。知識は裏切らない、人生を支えてくれる。

「探究心を潰す真似はしない、か」

 先程の呟きを改めて口にし、その響きが自らの願望であると承知した。

 ミレトスは研究を取り上げられたら生きていけない。
 だからこそ、あの薬を一刻も早く完成させなければーーそう覚悟を決めるのだった。