「…なに?」
私のお昼ご飯にもケチつけるつもり?
そう言おうとしたけれど、御坂の言葉に思わず手を止めてしまった。
「…俺ん家来ない?ちょうど良いそうめんをお歳暮でもらったとこなんだけど」
いつもは必ず目を合わせてくるくせに、私とは真逆の方向を向いて。
ほんのり染まった耳が、視界の隅に映った。
「…え?」
「いや、別に清水が嫌じゃなかったらだけどさ。ちょっと食べ切れそうにないんだよね」
あぁ…そういうこと。
…ちょっと自意識過剰すぎたかな。
ちょっと変な捉え方をしてしまったのが少し恥ずかしい。
「じゃあ…御坂がいいなら、お言葉に甘えてお邪魔しようかな」
断る理由もなかったから二つ返事でOKすると、「ほんと?」なんて言いながら振り返った御坂。
「よかったー…」
その顔は本当に嬉しそうで、誘われたこちらの方が嬉しくなるほど。
ふっ…軽口を叩く仲っていうだけの関係じゃないんだな、私たち。
「そうと決まったら早速案内するから。ちょっと歩くけどいい?」
「うん。ぜんぜん平気」
こんな時間がいつまでも続けば、昨日の偶然もただの日常の一部になる。