なんでここに来たがっていたのかがようやくわかると思ったけれど、予想外の返答が返ってきた。 「…ここは、俺が昔住んでたところなんだ」 ぽつり、小さくこぼして視線を寄越した。 人気のない、無人駅のような小さな駅で二人きり。 「それで…早葵と離れてた二年間を、ここで過ごしてた」 止まっていた時間が、少しずつ動き始めたような気がした。