そう言って私のトートバッグをサラリと持つと、申し訳なさそうに眉を下げた。



「…急で悪いんだけど、これから電車に乗るんだ。あんまり遠くないけど…疲れたら言って?」



「…うん。わかった」



私が流星のどこを好きになったかって言われたら、数え切れないくらいたくさんあるけど…特にこういうところ。



適当なことばっかり言ってるけど、過保護かってくらい心配性。



いつも私のことを考えてくれて、大事にしてくれる。



…でも、だからこそちゃんと聞きたい。



“誤解”ってどういうことなのか。



昨日の夜のこと?それとも、この街からいなくなったことを話さなかったこと…?



それを聞いたところでどうなるってわけではないし、なんて言われるのか正直怖い…けど。



「じゃあ、今度こそ出発しよ。間に合わなくなったら大変──」



「…ねぇ、誤解ってなんのこと?」



この2年間の空白を埋めるに、なくてはならないものだから。



流星の言葉にかぶせて聞くと、言いづらそうに口を開いた。



「…それは、目的地に着いたらでもいい?」



「…ちゃんと話してくれる?」



「もちろん。約束する」