どうしたって、昔を思い出してしまう。



「清水…この人誰?」



隣からボソッと小声で話しかけてきた御坂は、困惑の表情でこちらを見てきた。



「あ…えっと、」



なんて答えるべき…?



普通なら「元彼」と言えばいいだけの話。



別に、御坂になら話したっていいはず…なんだけど。



「…っ」



言いたくないって思うのは、きっと“元”を取り払いたいからだ。



「…君は、早葵の友達?」



どう答えようか迷っていると、流星の方から御坂に話しかけていた。



「…まぁ、そんなところですけど。あなたは?」



御坂の視線が鋭く光る。



きっと察しのいい御坂なら、目の前にいる流星と私の関係に気づいてるに違いない。



…そして、私の目が腫れている原因が彼にあるということも。



このピリついた状況をどう切り抜けようかと思考を巡らせていると、突然肩をグイッと引っ張られた。



その相手は言わずもがな流星で。



「ちょっと、なにす───」



「ごめんね、幼稚な真似して。でも…早葵に誤解されたままお別れするなんて、俺には耐えられない」



眉を寄せる流星の、なんとも言えない表情がそこにあった。



っ…なんで、流星がそんな顔するの。



まるで昨日の私のように、心底苦しいって顔をして。