龍崎は私の着替えを済ませると、何事もなかったように静かに部屋を出た。

(…なに…あの人達…私はこれからどうなってしまうのだろう…)

一人になり落ち着くと、今度は不安と寂しさが押し寄せてくる。

今思えば、朝の両親の態度は納得できる。
この家に連れて来られることを、知っていたのだろう。


(…家に帰りたい…でも、あの家は私の家では無かった…)


(…優しいお父さんもお母さんも…本当の両親じゃなかった…)


(…こんな事…知りたくなかった…)


いろいろと考えているうちに、ますます不安がいっぱいになる。
涙で前が見えなくなってくる。


「そうだ、高校はどうなるのだろう?ここから通うのかな?」

私は思わず独り言を言っていた。

何もかもが分からない状況だ。

私は高校三年生になったばかりだ、大学受験も控えている。
いろいろと聞きたいことが頭の中をぐるぐると回るばかりだ。