早乙女と龍崎は両側から私の手をとり、皆の前に出た。

「神宮寺家には、こんなにも素敵なお嬢様がいらっしゃいます。私達はこれからも神宮寺家を守るために力を惜しみません。」

会場中から、先程よりもさらに大きな拍手が聞こえて来た。
皆、頷きながら笑顔で頷いてくれている。


私は何故かすごく恥ずかしい。
帯をほどいて、凄く恥ずかしい姿だった。

すると、そこへ何処に居たのか、着付けをしてくれた小宮さんが、私の元に駆け寄り、帯を結びなおして着物を整えてくれた。


「小宮さん、帯をほどいてしまってごめんなさい。」

小宮さんは目を細めて笑顔を向けてくれた。

「恵美様、帯は何度でも私が結び直しますよ。着物も恵美様に着てもらえて喜んでいるようですね。」


早乙女と龍崎が隣で微笑んでくれていた。

その時はっきりと分かったことがある。

早乙女と龍崎に選ばれないと思った時、心臓に何かが刺さってしまったような痛みを感じたのだ。

私はいつしか早乙女と龍崎が好きになっていたのだ。