パーティーが始まり会場には沢山の人が続々と入って来る。

皆が神宮寺家の親族や関係者ということになる。
そこには私でも知っている政治家の顔もあり、錚々たるメンバーが集まっているようだ。

少しすると皆がグラスを持ちながら、久しぶりの再会に話を弾ませているようだ。
中には難しい顔で仕事の話をしている人たちもいる。

そして驚いたのは、早乙女と龍崎の思った以上の人気ぶりだ。
二人の周りには、いつしか女性たちがたくさん集まっているではないか。

確かにこれだけカッコよければ、人気が出るのも当然といえば当然だ。

少しして、何かの合図のように音楽が流れ始めた。

すると、それまで騒がしかった会場が、いきなり静かになったのだ。
一瞬のうちになぜか張りつめた空気に変わったようだ。

次の瞬間、一度閉ざされていた大きな扉がゆっくり開いたのだった。

白い手袋の男性がドアを開け、一礼した。

そして扉から入って来たには、お父さんとお母さん、さらにその真ん中には両側から手を引かれて、年配のとても上品な女性が会場に入って来たのだった。

恐らく、真ん中の女性はお祖母様だ。

お祖母様は神宮寺家の別荘で静養しながら今は静かに暮らしているそうだ。

初めてお会いする私のお祖母様だ。

なぜかとても緊張する。
何とも言えない存在感と威厳がある。

お祖母様はゆっくりと会場内を見渡した後、そして大きく息を吸うと、一呼吸して皆を見ながら話し始めた。

「皆さま、今日はお忙しい中、お集り頂き有難うございます。今日は初めに、私の孫娘を紹介したいと思います。」

お祖母様は私を見つけてこちらを見た。

「恵美さん、前へ出てください。」

私の名前がいきなり呼ばれた。
余りにも突然すぎて、体が一瞬固まってしまった。

すると、お母さんはそんな私に気づき、私の所へ近づいて優しく手を引いてくれたのだ。

この会場には既に200名程の人が集まっていた。
前に出ると、その視線が刺さるようでさらに緊張する。

皆が私に注目しているのが分かる。