親族パーティー当日。


今日のパーティーには着物での出席になる。
そのため、朝早くから少し年配の女性が着物の着付けの為、私の部屋にやって来た。

「恵美様、おはようございます。着付けを担当させていただく小宮と申します。よろしくお願い致します。」

「小宮さん、よろしくお願いします。」

小宮さんは柔らかい表情で微笑むと、テキパキと着付けの準備を始めた。
誰かに着付けをしてもらうのは、七五三以来だ。

肌襦袢を着て腰ひもをキュッと締める。
着物を着ると、背筋が伸びて、気持ちが引き締まってくるように感じる。

小宮さんは、最後の仕上げに帯の形や、襟元をキュッキュッと手直しする。
そして私の姿をしっかりと確認すると、一度頷き話し始めた。

「恵美様、とてもお似合いです。これはあなたの御祖母様が若い頃にお召しになったものなのですよ。」

その着物は華やかな朱色の生地に扇と鼓が刺繍された、とても美しい着物だ。
今日は御祖母様も出席されるらしい。
私の着物姿を見て、どう思われるのかとても不安になる。

髪もアップに結い上げられ、丸い珠の付いた髪飾りを飾ってくれた。
鏡を見ると、自分ではないようで恥ずかしくなる。