朝、学校へ行こうとした時、お母さんが急いで玄関に追いかけて来るではないか。
お母さんが慌てて走るのは初めて見た。

よほど急用なのだろうか。

「お母さん、どうされました?」

すると、お母さんはニコリと笑顔を見せた。
そして、両手で私の手を掴んだのだ。

「急だけど、今日の夜にお父さんが日本に帰ってくるそうよ。恵美に会えるのを楽しみにしているみたい。それを恵美さんに早く伝えたくて…学校行く直前にごめんなさいね。」

お父さんが日本に戻ってくる。
私の本当の父親に会えるということになるのだ。

嬉しいが、少し不安のような複雑な気持ちだ。

私は父を見て何を感じるのだろう。


(…お父さんはどんな人なのかな…)