部屋に戻ると、早乙女と龍崎がお茶の用意や着替えの準備をしてくれていた。

お母さんから、龍崎と早乙女の話を聞いたばかりで、少し意識してしまう。

気まずそうにしている私に、早乙女が気づいたようだ。

「恵美様、奥様から私達の話はお聞きになりましたか?」

私は大きく頷いた。
何故か恥ずかしくて顔を見ることが出来ない。

「でも…まだ信じられないの…そんな、アニメか小説みたいな話って、本当にあるの?」

早乙女は優しく微笑みながら話し始めた。

「信じられないかも知れないですね…でも、本当です。神のお告げの通り神宮寺家から嫁を貰い、子孫を残して頂きます。」

「…子孫?」

「…簡単に言うと、貴女には私達どちらかの子供を産んで頂きたいのです。」

「な…な…何を言っているの!」

いきなり顔が熱くなるのが分かる。

早乙女はクスッと笑いながら、少し悪戯な表情をする。

「…恵美様は、どうすれば子供が出来るかお存じですよね?」

横で聞いていた龍崎は、妖しい笑みを浮かべて私の手を取った。
そして手の甲に口づけた。

「恵美様、ご存じでなければ、私が優しくお教えしますよ…ご心配なく…」

「けっ…けっ結構です!!」

もちろん高校生の私でも、流石にどうすれば子供が出来るかは知っている。
想像しただけで、心臓がドクンと大きく音を鳴らした。

さらに早乙女は真面目な顔で話しを続けた。

「ただし、僕たちは普通の人間と違って、ただ行為をすれば子供ができる訳では無いのです。本当に心から相手を大切に思い、相思相愛である必要があるのです。」

「相思相愛ですか?」

「はい、お互いの愛が必要なのです。」

早乙女は目を細めて口角を上げた。

「私たちは恵美様を可愛らしい方と思っておりますが、お互いを知る必要がありますね、焦らず愛を育んでいきましょうね。」

早乙女と龍崎は同時に私の手を両側から取り、それぞれが私の手の甲に口づけた。

驚いた私はまた変な声が出てしまう。

「き…きゃっ!!」