まわりからキャーキャーと言われながらも、私は車に乗り込んだ。

龍崎と早乙女は女子高生から手を振られたので、それに応えるよう微笑んで手を振り返した。
一瞬皆が息を飲んだのか、沈黙があり、その後一斉に大きな割れるような悲鳴が聞こえてきたのだ。
近くで手を振られた女子高生は気絶寸前だ。

その様子を見ていた私は、なぜか少し怒った表情で車から外を見ていたようだ。
自分でも何を怒っているのか分からない。
ただ、なんとなく気分が良くないのは確かだ。

すると少しして、早乙女がクスッと笑いながら私の手を握った。

「…恵美様、もしかしたら…妬いていらっしゃるのでは?」

「----はぁ?なんで、私がやきもちを妬く必要があるのですか?」

「ご心配は無用ですよ。私たちは恵美様が一番ですから…ねっ龍崎。」

龍崎も少し意地悪な笑いをしながら頷いた。

「…恵美様は本当に可愛いですね…」

龍崎の言葉に恥ずかしくなり俯いてしまった。
二人が皆に笑顔で手を振ったのことで、無意識に気分が悪くなっていたのだろうか。

帰りの運転は龍崎が担当している。
早乙女は助手席ではなく、後部座席の私の隣に座っていた。
するといきなり、早乙女は私の肩を引き寄せたと思うと、頬にチュッと音をさせてキスをした。
いきなりのキスに心臓は爆発寸前だ。
顔から火が出そうでもある。

なぜ、このイケメン二人は何かあるごとに平気でキスするのだろう。
単なる挨拶なのだろうか?不思議な二人だ。