次に早乙女が庭の案内を始めた。

早乙女はたえず私を気遣いながら歩いてくれる。
足元が悪いところなどでは、優しく手を引いてくれたりする。
お姫様になった気持ちになってしまう。

この家のお庭は、ヨーロピアンテイストのエリアと日本庭園のエリアの二つに分かれている。
ヨーロピアンテイストのエリアはアンティークなレンガが遊歩道のように地面に敷き詰められている。

道の周りの花々は、立体感を持たせ無造作に花が植えられている花壇が続いている。
花々は自然に近い状態で植えられているのだ。

そして日本庭園のエリアに入ると、そこには大きな池があり、その中には錦鯉が悠々と泳いでいる。
その池を渡る石の橋や、石灯籠、石に生えている苔など、風情ある佇まいになっている。
大きな石の周りを小石で水か流れているような形に整えられている。
枯山水というものだろうか。

それにしても、この家の庭はどれだけ広さがあるのだろうか。
一周するのもなかなか大変なくらいだ。


部屋に戻ると、美味しい紅茶とお菓子が用意されていた。
紅茶には詳しくないが、花のような甘い香りのするお茶だ。
お菓子も小さなタルトにフルーツが添えられて、とても上品だ。

慣れないせいか、何故かこの状況が恐いとさえ思ってしまう。