自分がこんなにも誰かのことを
愛する事が出来て、大切に思う
事が出来て本当に幸せだ‥‥


この恋を諦めたあの時、
人生で1番の勇気を振り絞って
筒井さんに今言える言葉で思いを
伝えた。


そんな素敵な人と、まだ縁があって
こうして繋がっていることが
やっぱり奇跡なのだけど、
諦めなくて良かったと思う‥‥


それから筒井さんが帰国される日が
1日、また1日終わる度にあと何日と
何度も頭の中で考えながら
眠りについていた。


そしてついに迎えた土曜日


朝からポツポツと雨が降っていて
天気もスッキリしない1日で
とても残念だけど、筒井さんから
今からフランスを発つというメールが
朝方届いていて胸が締め付けられた


日本に着く頃は16時過ぎくらいかな。


それまでに掃除とご飯を準備して、
いつもよりも丁寧に自分の支度も
しないと‥‥


無事に日本に戻って来られますように‥


重い灰色の空に向かって願う。
せめて秋晴れらしい澄んだ空なら
この想いも届きそうなものの、
肌寒い日に、カーディガンを羽織った



お昼過ぎに準備を終えた私は、
落ち着かなくてソワソワしていると、
着信が届きスマホを見ると亮さんから
だったので電話に出た。


「もしもしこんにちは。
 どうされました?」


『(井崎さんごめんね。
 緊張してる時にかけちゃって。
 今電話してて大丈夫?)』


「な、何言ってるんですか!?
 緊張なんて‥‥少しはしてますけど
 家なので大丈夫ですよ。」


ソワソワしていたのが、
亮さんにバレていて恥ずかしい。


『(今から滉一を迎えに行くけど、
 良かったら一緒に行く?)』


ドクン


どうしよう‥‥
ものすごく行きたいけど、多分
きっと嬉し過ぎて泣いてしまう気がする


2人きりなら筒井さんにしか
見られないけれど、亮さんに
見られるのはやっぱり恥ずかしい‥



「私‥‥ここで待ってます。」


『(そっか。全然気にしなくて
 いいから。それじゃ待っててね。)』


「はい。お気を付けて行ってきて
 くださいね。」


亮さんと通話を終えると、
改めてもうすぐ会えるということに
心臓がドクドクと早くなり、
クッションを思いっきり抱き締めた


落ち着かない気持ちで、18時を迎え
いつ来るのかなと座っては立ち、
ソワソワしつつも、19時を過ぎても
連絡がなく20時を過ぎても来ない
筒井さんに少し不安になる


どうしたんだろう‥‥
16時過ぎには空港に
着いてるはずなのに連絡もない‥‥


もしかして亮さんとご飯を食べて
ゆっくり話してるかもしれないから
電話をかけるのを躊躇う