『よし、いいもの見れて気分
 いいから乾杯しようぜ。』


『だな‥‥井崎さんありがとう。
 滉一のことこれからも頼むな。」


えっ?


『ほら井崎さんも、カンパーイ!!』


訳が分からず古平さんにつられて
乾杯すると、私以外はグラスの半分以上
を一気に飲み干し、料理が来る前に
2杯目を注文していた。


ほんと皆さんお酒が強い‥‥


何度も見ている光景だけど、
わたしはあんなに飲める日は多分
今後も来ないと思う。


菖蒲もお酒が好きだけど、
どちらかといえばわたしのように
ゆっくり飲むタイプだから安心
出来るけど、本当にお三方はすごい。



『霞ちゃん、俺なんだか今日は
 君たち2人の微笑ましい姿で
 何倍でもいけそう。』


ニヤニヤしながら残りを飲み干す
蓮見さんに、先程のことを思い出し
恥ずかしくなる。


筒井さんは2人がいても特にわたしに
対する態度はさほど変わらないから、
私だけの問題なんだよね‥‥


なにせ片思いが3年以上の相手だから、
そう簡単に慣れないのだ。


『帰国したら井崎さん大変かもね。
 筒井さんのこと知らない1年目や
 前からファンでいるオツボネ達が
 暫くは黙ってないと思うから。』


やっぱり‥‥そうなりますよね‥‥


オフの筒井さんはなかなか社内の
人たちは知らないからこそ、
仕事中のスマートで落ち着いてて
レディーファーストさえできる
あの素敵な容姿の筒井さんに会ったら
ドキドキすると思う。


仕事中に恋愛要素は入れず、
1人の会社員として働く筒井さんは
特別扱いなんてすることはないから、
強い気持ちで仕事に集中しないと
メンタルが不安定になるかもしれない


『井崎さんの気持ちが真っ直ぐで
 変わらないなら大丈夫だよ。
 少なくともあんな顔の滉一は
 見たことないからさ。』


亮さん‥‥


『俺も古平も付いてるから、
 心配せずいつも通りでいてあげてよ。
 女性の扱いは俺得意だし?』


『えっ!?私も女性なんですけど、
 扱い下手くそじゃありません!?』


『うっ!こだちゃんはなんというか‥
 家族みたいなもんじゃん?』


『家族なら尚更大切にして
 いただきたいですね、色々と。』


また始まった‥‥
そう思いながらも楽しくて、みんなと
いるこの時間は笑いが絶えず、
1週間の疲れも忘れてしまいそうだ。



週末は旅行までまだ
20日近くあるものの、新しい服や
持っていくものを新調しに久しぶりに
買い物に出かけ、帰る頃には
両手がまた塞がるほど荷物が増えていた



来週はヘアサロンも予約したし、
筒井さんが帰られる前に色々自分なりの準備をしておきたい