うわっ‥‥すっごいどもった‥‥

だって準備もなしに、筒井さんの
お顔が見られるなんて思ってもないし、
部屋で1人きりならまだしも、こんな
みんながニヤニヤ見つめる中で
緊張しないほうがおかしい



『ブッ!』

『拓巳笑うな、井崎さん気にしないで』

『顔が真っ赤じゃない!お水飲んで?』


3人が一斉に見守る中、沸騰
しそうな私は画面の中の筒井さんが
声をあげて嬉しそうに笑う姿に
余計に恥ずかしくなった


『(ハハッ‥‥あー悪い。
 お前の一言で気が緩んで笑えた。
 こんばんは、元気か?)』


「は、はい!元気です。」


なんだか面接のような話し方しか
出来ずに力が入ってしまうけど、
画面の中の筒井さんが優しく笑うと
隣から覗いていた2人とわたしの後ろに来た蓮見さんが何故かビックリしていた


『(楽しそうなのはいいが、
 飲みすぎるなよ?帰りは危ないから
 タクシーで帰ること。拓巳に
 タクシー代出させればいいから。
 いいな?)』


「えっ!?」


『おい、ツケにしとくから帰国後
 滉一に請求な。』


蓮見さん、自分で出しますから!!


『それより、電話代高くなるから
 用事はなんだった?』


「あ!‥‥あのいつご帰国されるか
 知りたくて‥‥。11月の頭の3連休に
 蓮見さんの別荘に行くのですが、
 ‥‥あの‥‥‥つ、筒井さんと
 い、一緒に行きたいなって‥‥
 難しいですか?」


話してるところを聞かれるのも
恥ずかしくて、お酒を運んできた
店員さんにまでものすごく見られている


『(フッ‥‥行けるよ、一緒に。)』


「えっ?ほ、ほんとですか!?」


私が嬉しくなってる横で、ガッツポーズをする古平さんの方が喜んでいる


『(嘘言ってどうする。10月の
 最終の金曜日にこっちを発つから、
 30日には日本に入国予定だ。
 有給余ってるから使う予定だから
 心配するな‥。)』


もうすぐ本当に会えるんだ‥‥


旅行も勿論楽しみだけど、
帰国されて少しゆっくりする時間が
取れそうなら一安心だ。


「気をつけて帰って来てください‥
 お待ちしてます。」


『(ああ、また帰る前に連絡する
 亮、悪いけどハウスクリーニングだけ
 また頼んでおいて欲しい。)』


『ん、分かった。荷物も届く日は
 連絡しろ。受け取っておくから。』


みんなで筒井さんに手を振ったあと
名残惜しく電話を切ると、緊張していた
からか大きく深呼吸をした