私以外はすでに店内に集まっていて
乾杯せずに待っててくれたのかまだ
何もテーブルに料理やお酒もない
状態だった。


『井崎さんお疲れ様。
 遅くまで頑張ってるね。』


「亮さん!お久しぶりです。」


丸テーブルの空いてる席に座ると、
右隣にいる亮さんに笑顔で挨拶した


本当に最近なかなかタイミングが
合わずで、誘ってもらっても私が
菖蒲と用事があったりでご飯にも
行けてなかったから嬉しい‥‥


『よし、霞ちゃん来たから食べるか。
 お酒弱めのなら飲めるよね?』


「はい、一杯だけでしたら。」



筒井さんにあまり飲むなと
いつも言われてしまうので、ここには
居ないけど毎回約束を守っているのだ



『じゃあ‥白ワインと、古平と亮は
 ビールで、料理はまた適当に
 頼むから後から追加して?』


蓮見さんがオーダーしている間に、
古平さんが手招きしたので体を
そちら側に寄せた。



『井崎さん、筒井さんに連絡してみて?
 別荘に3人で行ってもいいけど、
 かなり飲むからお世話が大変で、
 筒井さんと井崎さんいると助かる
 から是非行く方向でお願いして!』


古平さん‥‥


ニュージーランドでも、
相当お世話が大変だったって
後から聞いたから苦笑いが出てしまう


「出られるか分かりませんよ?」


『大丈夫、井崎さんからの着信なら
 仕事中でも滉一は出るさ。』


「亮さん、何言って‥‥筒井さんは
 オンとオフは分けられてるので
 そんなことないですから。」


スマホに取り出し、
筒井さんにコールをすると、
目の前に座っていた蓮見さんが
スッとスマホを私の手から奪って
ビデオ通話にしたのか自分の目の前に
それを構えた。


『拓巳、叱られるぞ‥‥』


私もそう思う‥‥


蓮見さんってこういうイタズラっ子な
ところがあるから憎めないけど、
なんというかね‥‥



『(もしもし、どうした?)』


『やーん、滉一君久しぶり。
 私に会いたかった??ん?
 そうでしょ?』


『(‥‥‥‥用がないなら切るぞ。)』


『おいっ!!ちょっと待て!
 本気で切ろうとするなって!!
 霞ちゃんに変わるから。』


えっ!?


ちょっと待って‥‥
今ってビデオ通話になってるの!?


化粧も殆ど直さず急いできたから
身だしなみが大丈夫か焦る



渡されたスマホを緊張して覗くと、
そこには休憩中なのかオフィスではなく
外の景色とともに大好きな人の顔が
映っていた。



「‥‥‥こ、こ、こんばんは。」