来客応対はそんなになかったものの、
各部署から会議室の予約やお客様との
来訪など多く寄せられて、纏めれて
ないままこの時間になってしまい、
来週に持ち越すと大変なので、
やってから上がりたかった。



金曜日ということもあり、
多くの社員さんが帰られるのを
見送りながらもパソコンに向かって
仕事をしていると、目の前に影が出来て
思わず顔を上げた。



『お疲れー。今日予定なかったら
 ご飯行かない?』


「蓮見さんお疲れ様です。
 いいですね、あと少ししたら
 終わりますので、場所だけメール
 頂けたら向かいます。」


ニコニコの上司は、帰るどころか
わたしの隣に来て椅子に腰掛けると
肘をついてニヤリと笑っている


「‥‥なんですか?」


『んー?もうすぐアイツ帰って
 来るじゃん?毎年行く秋の別荘
 どうするかなって。』


あ‥‥‥そうか‥‥
忙しくてすっかり忘れていたけど、
もうそんな時期なんだ。



GWの時は蓮見さんがプレゼント
してくださった筒井さんとの旅行で
別荘には行かなかったけど、秋は
あの場所に行くのだろうか?


『10月に予定してたけど、
 どうせならアイツいた方がいいから、
 11月頭の三連休なんてどう?』


「筒井さん戻られてからすぐですね‥
 疲れが出ないでしょうか‥‥」


3.4.5と確かに3連休はあるけど、
筒井さんが帰国されて人事に戻られて
すぐだから心配になる。


『アイツの本格的な仕事は
 連休開けからになってるから、
 大丈夫だろ。今日ご飯食べながら
 帰国日聞いてみたらいいよ。』


「はい、そうします‥‥
 ‥‥つ、筒井さんが行かれるなら
 私も行ってもいいですか?」


『ハハッ!大丈夫、アイツも
 霞ちゃんいないならきっと
 行かないって言うから。
 じゃあ先に行ってる。古平と亮も
 来るから。いつものイタリアンね。』


「分かりました。なるべく早く
 向かいますね。」


嬉しい‥‥


亮さんとはあれからなかなか
会えてなかったから、久しぶりだ。


古平さんともなんだかんだで
一緒にご飯に行けてないから楽しみ‥


蓮見さんが電話をしながら手を振り
エントランスから出るのを見送り、
わたしも残りの仕事を間違えないように
入力して二重の確認をしてから
仕事を終えた。



「お疲れ様です。お待たせしました。」