「菖蒲、お疲れ様。‥‥あ、杉浦君も
 お疲れ様です。」


総務課に寄って少しだけ古平さんの
お仕事をお手伝いしてから食堂に
向かうと、菖蒲の向かい側に座っていた
美男子がニコリと笑って頭を下げた


『お疲れ様です。
 ご一緒しても良かったですか?』


「勿論。杉浦君もお弁当なんだね。
 私もなの。」


菖蒲もここ最近はエステやネイルに
お金を回したいからお弁当にしてる。
毎日買ってたり社食で使うのを節約
するだけでも1.2万は違うことに
使えるから大きい。


筒井さんたちのように、
忙し過ぎたり、野菜不足になるなら
社食を食べた方が健康にはいい気がする
けど、蓮見さんも全く料理しないし、
家ではどうしてるんだろう?



『こう見えて料理好きなんです。
 大学の時から始めたのでまだ
 そんなに上手くはないんですけど、
 意外に楽しいんです。』



『今の時代、男子で料理できるって
 ポイント高いよね?私も見習いたい
 くらいだよ。』


「うん、私もそう思う‥‥
 好きな人にご飯なんて作って
 貰えたら感動しそうだもん。」


筒井さんが苦手なのに作ってくれた
ピザトーストも本当に嬉しかったし、
美味しく感じられたことを思い出し
少しだけ口元が緩む


また帰国されたら一緒に何か
作りたいな‥‥‥


『井崎さんは恋人は
 いらっしゃるんですか?』


ドクン


なんて答えたらいいか一瞬悩み
頭の中で考えた‥‥


筒井さんとお付き合いということは
しているとは思うけれど、
同じ会社だし、迷惑がかかると
嫌だからいないって言った方が
いいのかな‥‥



『霞ちゃんはいるよ!好きな人。』


「えっ!?あっ‥ビックリした‥
 蓮見さん‥‥お疲れ様です。」


食べ終わってトレーを片付けに行くのか、ニヤニヤしながら私を見たので、
小さなため息を吐いた。



ここに筒井さんがいたらきっと
突っ込んでくださったと思うけど、
私にはとても出来ない!


心の中では出来るけど‥‥


『お疲れ様です‥‥そうなんですね?
 じゃあその方は幸せですね。
 井崎さん素敵ですから。』


『おっ、君なかなかいいこと言うね。
 こんな美女2人と一緒に食べてたら、
 社内の男どもに何もされないと
 いいけど気を付けなよ?』


美女2人って‥‥
しかも杉浦君まで素敵なんて
嘘でも嬉しいです。


手を振って去ってゆく蓮見さんに
3人で挨拶すると、また溜息が溢れた


『蓮見さんってカッコいいのに、
 なんかチャラいよね?
 距離感が近いというか‥‥』


「ハハ‥‥うん‥‥もう慣れたかな」