今さらっと好きって言われた
気がするけれど、恥ずかしくて
聞き返せない。


「い‥伊野尾さんは私にそんな感情は
 抱いてません‥」


なんとなく筒井さんにギュッと
しがみつくと、筒井さんも私を
少しだけ強く抱き締めた


もし向こうにそんな感情があっても、
私はこの腕の中から離れたくない‥


『お前は仕事人間の俺が変われた
 大事な存在だからな‥‥』


筒井さん‥‥


筒井さんもあんなことがなければ、
今頃あの彼女さんとずっと仲良く
過ごしていて、私とは出会うことも
なかった人生だったと思う。


この温もりを知ってしまったら、
筒井さんのいない人生なんて
考えられないけれど、運命や人生って
ほんの少しの流れが変わるだけで
大きく変化するって感じた。


「今の筒井さんがあることに、
 私なんかが関われてるとしたら、
 それはとっても嬉しい事です‥。
 私と出会ってくださってありがとう
 ございます‥‥。」


『私なんかじゃないだろ?』


えっ?


筒井さんが体を起こすと、
私を仰向けにしたあと真上から
見下ろし、顔の横に両肘をついた。


あまりに近い至近距離で見下ろされ、
多分顔がとっくに真っ赤になっている
私を真剣に見つめてくる。


『お前だからだよ‥‥。
 お前の代わりは誰もいないからな。』


「筒井さん‥‥。
 それは私のほうこそです‥‥。
 筒井さんしか‥‥ダメなんです。」


触れていいのか分からなかったけど、
筒井さんの頬に震える手を添えると、
顔を手のほうに傾けそこに唇を
触れさせた。


『今日はゆっくり寝ようと思ったけど、
 抱くぞ‥‥いいか?』


閉じていた瞳が開くと、
色っぽい視線で私を見つめてきたので、
小さく頷いた。



あんな話を聞いたからか
分からないけど、筒井さんを全身で
抱き締めたかったのかもしれない


体中に刻まれる舌の熱さや、自由に
動き回る手の感触に息も上がり
体が痺れていくようだ。


「アッ‥‥筒井さ‥‥ンンッ!!」


『‥‥‥霞‥‥こっちを見て‥‥』


こんな時に名前を呼ぶなんてズルい‥


下半身に苦しいくらいの圧迫感を
与えておきながらも、甘い声と頭を撫でる手の優しさにゆっくり目を開ける。


「恥ずか‥し‥‥‥ンッ‥‥」


『フッ‥‥。
 俺のこんな顔を見れるのはお前だけ
 だからな‥‥』



その後は意識が朦朧としそうなほど
とろける時間を与えられ、
筒井さんの深いキスや、体中を撫でる
手の動きにも甘い痺れが止まらず
ついていくのに必死だった