筒井さんと蓮見さん、亮さんは
大学からの付き合いということは
知ってるけど、ジュニアってそもそも
何歳なんだろう‥‥



『優香里さんのことで色々悪かった。
 元々乗り気じゃない婚約だったから、
 井崎さんを巻き込んで申し訳
 なかったけど、結果的にダメになって
 良かったなんて思うんだよ。』


『そうか‥‥。
 なら今後も2度と巻き込むな。』


筒井さん‥‥


この喫茶店ではいつも穏やかな
筒井さんが珍しく低い声をだしたので
驚いてしまった


マスターが裏に焙煎室に行っていて
居なかったし、他にお客様が居ないから安心だけど、1人でハラハラしてしまう



『お前がしたことを忘れたわけ
 じゃない。時間が解決して
 くれたけどあの時と状況が似てる‥。
 頼むから手を出さないでほしい。』


『分かってるよ。‥‥あわよくばって
 気持ちがないと言ったら嘘になる。
 お前とタイプが似てるからな‥‥。
 繰り返さないよ‥‥二度とな。
 あ‥マスターご馳走様でした。』


財布とスマホを手に取ると、
ジュニアが立ち上がった際に目が合い
慌てて立ち上がり頭を下げた。



オフとは言え、私に取っては
自社の社長のご子息に当たるから
ついクセでそうしてしまう


『井崎さん色々悪かった。
 またこっちに来た時は今度は
 滉一と一緒にご飯でも行こう。』


「あ、はい‥‥。」


『それじゃあまた会社で。』


筒井さんとアイコンタクトをした
ジュニアはお会計を済ませると
喫茶店を出て行ってしまった。


はぁ‥‥‥なんかどっと疲れた‥


筒井さんが話してくれるまでは
聞くつもりはないけど、多分
2人の間には何かあったんだとは思う。


「筒井さん‥‥大丈夫ですか?」


そっと肘の辺りの服を掴むと、
ジュニアの方を見ていた筒井さんが
それに気づいてフッと笑った



『お前を置いてくのが嫌になるな‥』


えっ?


言っている意味が分からなかったものの、そのあとはマスターと普通に
会話をされていたので、私も一緒に
リラックスした時間を過ごした。


『また筒井さんが通ってくださる
 日を楽しみにお待ちしてます。』


『はい‥‥暫くは落ち着くまで
 バタバタすると思いますが、
 ここには必ず通います。
 ご馳走様でした。』


「マスターご馳走様です。
 私もまた寄らせていただきます。」