おでこから髪をかきあげるように何度も頭を撫でられ、その気持ちよさに、
目を開けるのも躊躇われてしまう。


ずっと撫でていて欲しい‥‥
この温かさを感じながらもずっと‥


「‥‥ん‥‥‥ンッ‥‥」


ん?


お腹の辺りから少しだけひんやりした
くすぐったさを感じた気がしていると、
次の瞬間胸の先端に感じた甘い痺れに
パッと目を開けた


「‥‥アッ‥‥ん‥筒井さん!」


『‥‥起きたか?』


ガバッと体を起こすと、するりと
私の体から手が離れて恥ずかしさに
顔が熱くなってしまう



「起きたかって‥‥あ、朝から
 何して‥‥‥」


捲れ上がっていたシャツを慌てて
下ろすと、それを眺めていた筒井さんが
寝そべったままクスクスと笑っていた


『お前‥‥頭ボサボサだぞ?』


「えっ?嘘‥‥」


両手で頭を撫でて手櫛で梳かすように
抑えるものの、寝癖がひどいのか
触っただけで頭が大きいのがよく分かる


昨日あの後お風呂に浸かった時に
濡れるからと捻ってお団子にしたまま
だったことを忘れていた


『シャワー浴びておいで。
 俺も走ってきて今浴びたから、
 ゆっくり朝ごはんにしよう。』


「は、はい!‥‥ウワッ!」


上手く足腰に力が入らなくて、
ベッドから降りた時によろけそうになり
昨日のことを思い出して一気に
恥ずかしさがましてゆく


後ろで笑っているのか、
その声に振り向かないまま部屋から出ると急いでシャワーを浴びた。



鏡で自分のボサボサ頭を見たら
あまりの酷さに泣きたくなったけど、
それよりも朝ごはんを
作れないまま寝過ごした自分に
泣きたくなる。


ランニングに行ってきたって
言ってたけど今何時なんだろう‥


モヤモヤした気持ちで急いでスキンケア
をしてから髪の毛を乾かし終えると、
洗濯乾燥機をセットして
リビングに戻った。



「すみませんっ!すぐ作ります!」


時計を確認したら8時半過ぎ。
今から作れば9時には食べれるはず!


ご飯はすぐ炊けるから、お味噌汁と
卵焼き、買ってきた鮭を焼いてる
間にお浸しを作ろうかな‥‥


『今日は俺が作るよ。
 いつも作ってくれてるから。
 美味しいかはわからないからな?』


嘘‥‥‥!
筒井さん料理なんて出来るの!?


半信半疑で恐るおそるキッチンに
ゆっくり向かって手元を覗いてみた


「あっ!ピザトーストですか!?
 すごい!美味しそうです!」