顔を赤くさせたのは筒井さんなのに‥‥


息継ぎもさせてもらえないほどの
長いキスに目も体もとろんとなり
力が入らない私をシートにもたれさせ
シートベルトをしてくれると
頭をくしゃっと撫でられた


「あの‥‥‥
 さっきの男性はどうなりましたか?」


『拓巳と一緒に話を聞いて、
 なんとなく事情は掴めたから
 心配するな。』


良かった‥‥‥


怪我がないだけでも安心したけど、
あの時筒井さんが来なかったと思うだけでどうなっていたんだろう‥‥


大きな声をちゃんと出して助けを呼ぶ
勇気は出せたのかな‥‥


強く掴まれた右腕をさすると、
感触が残っているようで体がブルっと
震えてしまう


せっかく筒井さんに会えたのだから、
今はこの時間を大切にしないと‥


3回めとなる個室の日本食のお店に行き
美味しいコース料理を食べながら、
白米をおかわりする筒井さんを見て
嬉しくて自然に笑顔になる


『やっぱり日本は食事が美味いな‥』


「ふふ‥沢山食べてください。」



前回の帰国からまだ1月と少しだけど、
筒井さんはパンよりもやっぱりお米が
好きみたい。


韓国でもお米料理を堪能したみたい
だけど、日本食が1番落ち着くって
お味噌汁を飲みながら言っていた。


お味噌汁っていつ飲んでも、
ホッとするから気持ちがよく分かる‥




「ご馳走様でした。」


『どういたしまして。美味かったな。』


お会計を私の分まで払ってくれた
筒井さんにお店の外でお礼を伝えたあと
また助手席のドアを開けて乗せてくれた



「筒井さんは今回はいつ戻られるん
 ですか?」


本帰国じゃないとは言っていたし、
また会えるんだけど、もう少し一緒に
いたかったのだ。


帰ってきて疲れてる状態であんなことに
巻き込んでしまったからゆっくり休んで
欲しい気持ちと自分の気持ちが混ざり、
なんとなく俯いてしまう



『フッ‥‥泊まりにくるか?』


えっ?


『あんなことがあって
 このまま帰すわけないだろ?』


「でも‥‥」


『お前はもう帰りたい?』


ドクン


そんな聞き方するなんて
筒井さんはずるい‥‥


横に首を振ると、もう一度頭に
優しく触れた手に顔を上げた



『スーパーに寄って買い物して
 いこう。何もないからな?』


調味料とかはGWに買ったものが
沢山残ってるし、お米も冷蔵庫に
入れてあるからおかずだけまた
沢山作ってあげたいな‥‥


2人で近くのスーパーに寄り、
筒井さんが食べたいものを中心に
お酒や食材を買ってから、私の家に
寄ってくれ2日分の荷物を纏めた。