筒井さんが心配だけど、
早く蓮見さんを呼ばないと‥‥


なんでここにいるかわからないし、
頭の中は色々なことでパニックに
近いけど、私は会社に向かって
走りながら蓮見さんに電話をかけた。


『もしもーし、霞ちゃんどしたの?』


「蓮見さん!!大変なんです。
 筒井さんが‥ヒック‥筒井さんを助けて
 ください!!」


『‥‥落ち着いて。今どこ?』


「会社から出て左の〇〇交差点のすぐ
 側です。‥突然変な男の人に
 追いかけられて筒井さんが
 捕まえてくださって‥‥」


『滉一がいるのもよく分からないけど
 すぐ行くから。』


「ッ‥お願いします‥‥」



泣きながら必死で声を出して
話すと、会社に着いた頃には
息もきれてヒールで走った足は
とても痛かったけど、目立つから
一階の休憩室に入りテーブルに
突っ伏した。



会社に逃げてきてしまったけど、
今になって筒井さんと蓮見さんが
心配で両手が震えてることに気づく


待ってる間の一分一秒が
悪いことばかり考えてしまう


どれくらいたったのか分からない頃、
やっぱり心配で戻ろうと思い
ドアを開けたら、エントランスから
入ってくる2人を見つけて体の力が
抜けてその場に座り込んでしまった


『しっかりしろ‥もう大丈夫だから。』


『霞ちゃん連絡ありがと。
 いやー着いたらビックリしたわ。
 そっくりさんでもいるのかってね。
 じゃあ俺は仕事ほっぽり出して
 来ちゃったから戻るわ。』


『助かった。サンキュ‥』


2人が私を起こしてくれると、
まだ目の前に筒井さんがいることが
信じられなくてその姿を見つめてしまう


蓮見さんが私の頭を撫でてくれると、
筒井さんの肩を叩いてから
エレベーターホールに向かってしまった




「‥‥本物‥ですか?」


スーツは着ているものの、
1月ぶりの筒井さんがここにいることが
不思議で仕方ない


フランスからそんなに早く
日本に来れないって分かってるから‥


『フッ‥‥だったら確かめてみろ。
 ほら行くぞ。』


えっ?


腕を引かれて訳が分からないまま
地下駐車場に行くと、見慣れた場所に
筒井さんの車が停まっていて余計に
色々が分からなくなってきた


フランスから来てマンションにも
戻ったということ?


何も言わない筒井さんは、
当たり前に助手席のドアを開けると
私をそこに乗せてくれたあと
運転席に乗り込んだ。


『お腹空いてるだろ?
 一緒にご飯を食べに行くぞ。』



「筒井さん‥‥待ってください‥」