1ヶ月限定ってこと?


相手は社長のご子息という立場だけど、こうして笑い合って飲んでると
筒井さん達のお友達として接すれば
いいってことなのかな‥‥。



「‥‥‥分かりました。」


『フッ‥‥決まりだな。』


頭を軽く撫でられると、昼間の時の
ような嫌悪感はなく優しく笑った顔に
何故か安心感さえ感じてしまった。


筒井さんとタイプは違うのに、
何故か似ている雰囲気があるから
かもしれない。


『翔吾、手は出すなよ?』


「な!何言ってるんですか!?亮さん、
 そんなことあるわけ‥‥」



‥‥えっ?


冗談で言ったことだと思い、隣の
亮さんを見たら、真顔で目の前に座る
ジュニアを見据えていたので驚いた



『フッ‥さっき滉一にも
 同じこと言われたな。お前たちは
 俺をなんだと思って‥‥』


『心当たりがあるなら手を出すべき
 じゃないってことさ。』


なんだか真剣な話し合いになってきた
感じがして居づらくなり、
お手洗いに行くと席を立った。


普段穏やかで落ち着いた亮さんが、
あんな顔をするなんて初めて見たから
少し怖かった‥‥


心当たりって‥‥なんだろう。
仲は良さそうだけど、昔2人の間に
何かがあったのだろうか?



戻りづらく少しだけ時間を置いてから
そっとドアを開けると、先ほどの
雰囲気はもうなく3人は普通に
話していたのでホッとした。


『そろそろ帰るか?
 霞ちゃん俺たち飲んじゃったから
 電車で帰れそう?』


「はい、勿論です。
 時間もまだ全然大丈夫ですし。」


21時を過ぎた頃、蓮見さんが大きく
伸びをしながら欠伸をしていた


華金と言っても1週間の疲れが貯まる
曜日でもあるから、学生の時とは
違って日を跨いで遊ぶことが
いつの間にか出来なくなっていた。



3人はまだ飲み足りないようで、
お店の前で別れるとそのまま
呼んでいたタクシーに蓮見さんと
亮さんが乗り込んだ。


「今日はありがとうございました。
 楽しんできてくださいね。」


奢ってもらったのでジュニアに
丁寧に頭を下げると、タクシーの
運転手に何かを告げてこちらに来た。



『本当に送らなくてもいいのか?』


「はい、電車に乗ればすぐですし、
 大丈夫ですから。」


『そうか‥‥
 今日は泣かせて本当に悪かったな‥
 気をつけて帰れよ?』


トクン


優しい笑顔で頭を撫でる仕草に
思わずドキッとしてしまったけど、
頭を下げて3人に手を振り見送ると
私も駅に向かった。