片思い。


その辛さも、頑張ろうとする期間も
経験したからこそ、杉浦君を心の
中だけでも応援してあげたい


菖蒲が幸せなのが1番だから、
変に別れさせるようなことを
彼がしたら止めないといけないけど、
あの子はそういう人じゃないって
何故か思えた。


落ち込んでいたけど、
なんか心があったかくなって良かった‥



お昼ほとんど食べ損ねてるから、
今日は美味しいもの作って
食べようかな。



『俺に触られたら涙が出るのに、
 他の人とは大丈夫なんだ?』


えっ?

 
背後から聞こえてきた声に振り返ると、
蓮見さんとジュニアがそこに
立っていて驚いた。


『霞ちゃん大丈夫だった?
 変なことされたらすぐに言ってね。
 翔吾は馴れ馴れしいとこあるから。』



蓮見さんがそれを言いますか‥?


初対面でかなり距離感近くて、
すぐにちゃん付けで呼んでましたよ?



『悪かった‥‥。
 嫌な思いさせたな。』


綺麗な顔が申し訳なさそうに
目尻が下がると、私に向かって
頭を下げてきた。


「あ、あの!やめてください!
 もう気にしてませんから。」


よりによってジュニアに頭を
下げさせるなんて、誰かに見られたら
それこそ怖い


『ほんとか?』


「はい!ほんとです。
 ただああいうことはもうしないで
 貰えると嬉しいです。」


今度は顔がパァっと明るくなったので、
コロコロ表情がよく変わる人だなと
見上げてしまった



『よし、じゃあ霞ちゃん行こっか。』


「えっ?何処かですか?」


『何処って‥‥翔吾と亮と飲みに
 行くからおいでよ。』


「いや、そんなところに私は
 入れませんから。久しぶりだと
 思いますのでどうぞ3人で楽しんで
 来てくださ」


『はい、決定!!行こうぜ!』


ええっ!?



まだ話してる途中だったのに、
蓮見さんとジュニアに腕を組まれると、
そのまま地下駐車場まで連行された


蓮見さんが2人いるかのような
マイペースさに、逆らうことも出来ず
車に乗せてもらうと帰りたい気持ちで
頭の甲が垂れ下がる


もう関わることがないと
思っていたのに、まさかの事態に
ここから走って逃げたいくらいだ。


『今日は俺の奢りだから、
 沢山飲んで食べていいぞ。』


「‥‥はい。ありがとうございます。」


初めて来た洋風のオシャレなお店に
連れてこられると個室に案内され、
そこに来ていた亮さんを見てかなり
安心した。


「亮さん、お疲れ様です。」


『また捕まったんだ?
 可哀想に。運が悪かったね。』