少しだけ日に焼けた肌色のジュニアは、
3人とはまた違った格好良さで、
4人が揃ったら危険なくらいの容姿に、
目を合わすのも躊躇いそうだ


「業務とは関係ございませんので、
 答えることは控えさせて
 いただきます。」


エレベーターが秘書課と社長室がある
最上階に着いたので、またボタンを押したままドアに手を添えた。


もうここまでで十分だよね?
ジュニアが降りたら頭を下げてそのまま下に向かおう。



『あんた面白いな‥‥
 俺の周りにはいないタイプで
 気に入った。滞在中はよろしくな?
 霞ちゃん?』


「ワッ!な、何するんですか!?」


いきなり近づいてきたかと思えば、
腰を抱かれて耳元で囁かれたので
思いっきり突き飛ばした。



『ククッ‥‥ほんと‥益々いいわ。
 案内ありがとな。』


筒井さん意外にこんなにも密着されて
嫌悪感でいっぱいな私は、勢いよく
エレベーターを閉めるとお辞儀も
することなく背を向けた。


初対面で変な距離感を向けられて、
掴まれていた手首すら洗いたくなる


あんな人がジュニアだなんて‥‥


筒井さんも仲がいいのかな‥‥


今後そんなに関わることも
ないと思うし、大阪に帰られると
思うから少しの間だけの我慢かな。



「佐藤さん、お忙しい中すみません。
 ありがとうございました。」



『大丈夫よ、一段落したから。
 寧ろ大丈夫だった?』



「えっ?あ‥はい。大丈夫です。」


何もなかったわけじゃないけど、
思い出すことすら嫌で、筒井さんから
頂いた指輪を何度もさすってしまう



『伊野尾 翔吾(いのお しょうご)
 29歳。大阪支社重役。
 本社社長のご子息で次男。
 3年前まで本社で企画経営に
 いたみたいよ?』


お昼を食堂で菖蒲と食べながらも、
さっき来たばかりのジュニアの情報を
淡々と話すことに感心すらする


思い出したくもないのに、
今日の社内は何処に行ってもジュニアの
話でもちきりだ。


佐藤さんですら素敵!なんて
言ってたくらいだからな‥‥‥


「ふーん‥‥」


『わっ!出た‥‥。』


「何が出たの?」


『多分社内でかすみだけだと思うよ?
 興味ないのなんてさ。
 まぁ‥‥仕方ないよね‥‥
 あんなジェントルマンがバックに
 いたらさ‥‥』


『へぇ‥‥それって誰?』


ドクン