その言葉に涙が出そうになるのを
堪えると、美味しそうに食べてくれる
筒井さんを眺めながらお酒を口にした



あの写真を見たから余計にそう
思うのかもしれない‥‥


筒井さんに早くここに帰って
来られる日が来るといいなって‥


仕事とオフをきっちり分けられる
方だから、どんな場所でも責任を持って
働くのは当然だって教えてくれた



それでもこうして見せてくれる
ほんの少しの弱音を
今は黙って聞いてあげたい‥‥


『美味かったよ、ご馳走様でした。』


「良かったです‥‥筒井さんに
 こうして作ることが出来たなら
 嬉しいです。」


洗い物を手伝ってくれたあと、
伸びてきた手が私の頭をクシャリと
撫でてくれる


こんな何気ない時間も今は
とても楽しくて仕方がない‥‥


『これ‥まだ着けてくれてるんだな?』


トクン


後ろから抱き締められたまま
ネックレスに唇を落とされ体がビクッと
震えてしまう


ここで前にもこんなことがあった
なって思い出す‥‥



懐かしくて抱き締められた手に
自分の手を重ねると、首筋を這う舌に
顔が熱くなっていき筒井さんの手を
ギュッと握りしめた


「ッ‥筒井さん」


『どうした?』


「‥‥お皿‥‥片付けなっ‥ンッ」


後ろから覆い被さるように唇を
塞がれると、すぐに離れた筒井さんが
小さく笑った


心臓がドクドクと煩いのに、
至近距離で何も言わずに見つめてくる
綺麗な顔立ちの筒井さんを
見ていられなくて目を逸らす



『お前の顔が赤くなるのも
 覚えておかないとな?』


「な、何言ってるんですか!?
 そんなの、お、覚えなくても
 いいですから!!」


前を向いてお皿をまた拭き始める
間も離れず、私の肩にもたれかかるように顎を乗せていたので、結局
顔の熱が取れることもなく耳や
首まで赤くなってしまったのだ。


それからの2日間は、車で都内に
出掛けて買い物をしたり、ランチしたり
しながら過ごし、帰る前に喫茶店に
寄りたいという筒井さんと一緒に
マスターに会いに行くことにした。


カランカラン


『こんばんは‥‥だれかと思えば
 筒井さんでしたか。お久しぶりです。
 お元気でしたか?』


『マスターこんばんは。
 ご無沙汰しております。
 なんとか向こうで精進してます。』


『霞さんもいらっしゃいませ。
 良かったですね‥‥。』


トクン