途中で仰向けになったものの、
殆ど爆睡に近いくらい眠ってしまい、
起こされた時には、全身が温まり
体が嘘みたいに軽くなっていたのだ


「すいません‥眠ってしまって‥」


『お疲れでしたね。首と肩、あとは
 下半身の浮腫や疲れをほぐしたので
 今日は水分を沢山とってデトックス
 されてくださいね。
 ホットタオルで拭き取りましたが、
 着替える前にもう一度こちらを
 使って拭いてください。もう一度
 温泉で温まるのもオススメです。』


「ありがとうございます。
 そうさせていただきます。」


最後まで高級旅館ならではの丁寧な
応対に、職種は違えど学べることが
多いなと思えた。


それにしても本当に体がラクだ‥‥


若い時は必要ないなんて思ってたけど、
これからは時々こういうことに投資
するのも大事だなって感じながら
浴衣にまた着替え終え部屋を出た。


『終わった?』


「はい‥‥とても気持ちよくて
 すぐ寝てしまいました。
 筒井さんも疲れは取れました?」


『ああ‥‥俺もすぐ寝た。
 拓巳に感謝だな。かなりリラックス
 出来た気がする。』


「良かった‥‥」


顔色がかなり良くなった気がするし、
筒井さんにはリラックスして美味しい
ご飯を沢山食べて過ごして欲しい。


お部屋に戻ると、もう一度露天風呂で
お互い体を温めてから、和室で
運ばれてきた懐石料理に、筒井さんと
乾杯をしてから頂くことにした。



『はぁ‥‥美味い。』


冷えたビールをゴクゴクと飲むと、
嬉しそうに美味しい料理を食べる姿が
微笑ましくて、そんな姿を眺めた


まさかあの日から半年ほどで、
またこの愛しい人との時間を
過ごせるなんてやっぱりまだ嘘みたいで
夢のようだ‥‥



「向こうでは和食は食べられなかった
 んですか?」


『日本食の店はあるけど、やっぱり
 違うんだよ‥だから亮が送ってくれた
 レトルトの白ご飯と梅干しや
 インスタントの味噌汁は食べてた。』


亮さんご飯なんて送ってたんだ‥‥
また向こうに行ってしまったら
私も筒井さんに何か送りたいな‥‥


並べられたお刺身や鮑の蒸し物、
鱧の天ぷらなど、向こうでは
食べられないと筒井さんは喜んでいた


海外も素敵だけど、この美味しい
日本食を知ってしまうと、なかなか
これ以上の食事はない気がしてしまう


それぐらい日本は何を食べても
美味しい国だとも思ってる


「はぁ‥‥もうお腹いっぱいです。」


食後のフルーツとシャーベットまで
食べ終えると、胃がパンパンで
お腹が少し苦しいくらいだった


『美味かったな‥‥。じゃあこの後
 少し庭に出て散歩でもするか?』


「はい!」


『フッ‥‥今日は酔ってないな?
 冷えるといけないから羽織りを
 着てから出よう。』