『こちらでございます。
 3日間どうぞゆっくりと
 お過ごしくださいませ。』


「『ありがとうございます。』」


既に荷物は運んで頂いていて、
お部屋の入り口で着物が素敵な中居
さんに挨拶すると、筒井さんが
先に私を部屋に入れてくれた。


本館から素敵な石畳の庭や枯山水が
美しい日本庭園を通りやって来たのは、数奇屋造りという離れで、建物も雰囲気も更に美しくて見惚れるほどだ


もう蓮見さんがすることが凄すぎて
笑いが出るくらいだけど、筒井さんに
嫌な思いをさせたくないから、私も
受け入れることにしよう‥‥



カラカラ


「!!!」


引き戸の障子を開けた先に広がる
一面の美しい日本庭園に言葉が出ない
くらい驚く。


庭を眺めれるように作られた
ソファスペースの奥には
掘りごたつ式の和室も見える


『綺麗だな‥‥』


「はい‥‥感動してしまいます。」


『おいで‥‥』


トクン


手を引かれて縁側まで行き、2人で
中庭を静かに眺める。
日本を離れてフランスで頑張っている
筒井さんにとっては最高な時間に
きっとなるはず‥‥


蓮見さんの筒井さん愛にすら
感動してしまう。


平屋の離れには、内風呂で檜風呂の
源泉掛け流しがあり、そこから
ガラス戸をあけると、岩風呂の露天
にも入れて疲れも取れそうだった。


「筒井さん先に
 お風呂に入って来てください。
 マッサージまで1時間くらいまだ
 ありますし、私は荷物を片します。」


帰国されてここまで来るだけでも
相当疲れてるはずだから
ゆっくりして欲しかったのに、
スーツケースを寝室に持って行こうと
すると、後ろから筒井さんに
抱きしめられ体が固まってしまう



「つ‥‥つ、筒井さん!?」


『‥‥1人で入るのか?』


ドクン


回された腕が鎖骨とお腹の辺りに
回され、心音がドクドクと煩く
筒井さんの腕に伝わってしまいそう‥


耳元に触れる唇や吐息にすら
全身が熱くなり、既にのぼせそうだ。


『フッ‥‥真っ赤だな‥‥。
 ありがとう行ってくるよ。』


「ンッ‥‥」


私の首筋に唇を触れさせると、
固まって動けない私を他所に、
ベッドの上に置かれた浴衣を手に取り
スーツケースからテキパキと着替えを
取り出し脱衣所の方へ行ってしまった



その途端、足の力が抜けて
その場に座り込むとそのまま両手で
顔を覆い突っ伏す


冗談なのか本気なのか分からない‥‥
それに、離れていたのにあまりにも
自然に触れてくるから心が追いつかない


好きすぎて‥‥ほんとうに‥困る