一つだけではなく大きさもリボンの
色も違う2つの箱を両手で受け取る


「筒井さん‥‥2つもですか?」


『ん?1つはフランスから帰国したら
 渡す予定だったものだから、
 遅くなっただけ。気にするな。』


「ありがとうございます‥‥」


震える手で、膝の上に置いた箱の
リボンを丁寧に取ると、そっと箱を
開けた。


「‥‥わぁ‥可愛い‥‥‥
 すごく嬉しいです。
 付けてみてもいいですか?」


小さな箱から出てきたのは、
会社にもつけていけそうな可愛い
ピンクゴールドのピアスで、
両方の耳に付けた私を見て
筒井さんが嬉しそうに笑った。


これだけでもすごく嬉しいのに、
もう一つ貰うなんていいのかな‥‥


もう一つの手のひらサイズの箱の
リボンも解き箱を開けると、
クリーム色の小袋があり、
何が入っているんだろうと思いながらも
手を入れてそれを取り出した


「あっ‥‥もしかしてキーケース
 ですか?筒井さんに頂いたのが
 あるのに‥‥‥えっ?‥‥
 筒井さん‥‥‥これって‥」


キーケースを開くと、そこに
付けられていたここのマンションの
鍵に気付き筒井さんをまた見つめる


『お前に持っていて欲しい‥‥
 俺のせいで外させてしまったからな』


筒井さん‥‥


あの日ここで返したカードキーが
またここに戻ってくるなんて‥‥。

それを胸の前で両手で包むと
堪えきれず涙が溢れた


『お前‥‥また泣いて‥‥』


身を乗り出して私を腕の中に
抱き締めてくれると、筒井さんの
胸にもたれて泣いてしまった


悲しい記憶がそれを忘れさせるほどの
嬉しさで塗り替えられ堪らない気持ちに
なったのだ


「‥‥大切にします。」


もう一度力を込めて抱きしめてくれる
温もりにしがみつくと、その後
丁寧に涙を拭ってくれた


「私からのプレゼントも
 持ってきますから、少しだけ
 待っててください。」


顔もぐちゃぐちゃで恥ずかしいけど、
筒井さんからのキーケースを鞄に
ちゃんと閉まってから、プレゼントを
取り出しリビングに戻った。


「お待たせしました。
 筒井さんがくれたような素敵な
 ものではないですけど、どうぞ。」



『ありがとう‥開けてもいいか?』


筒井さんの隣にまた座ると、
大きな箱の蓋を開けた後わたしを見た


『‥‥ブランケットだな。
 あったかそうだ‥ありがとう。』


「色々悩みましたが、
 車通勤ですし、運転中に膝に
 かけたり、家でリラックスされたい
 時にお昼寝用にも使えるように
 大きめにしました。」