ファイルを乗せてくれた立田さんに
笑顔でそう答えると、笑ってくれた


もし筒井さんとまた向き合う日が
訪れなかったら、この優しさに
甘えて逃げてしまったかもしれない


立田さん、
ありがとうございます‥‥



19時近くまで残業をこなす日々が
続き、家に帰ると早めに眠りに着き、
そんな日々を繰り返し過ごしていたら、
あっという間に土曜日を迎えてしまった



1週間の目まぐるしい日々の
疲れは残るものの、
8時まで久しぶりに寝た体をストレッチ
して解してから出掛ける準備をした。


10時に迎えに行くと昨日連絡が
来ていたから、荷物を持って
エントランスの外で待っていると、
目の前に一台の車が停まり、
運転席から筒井さんが降りたので
私も駆け寄った



「おはようございます。」


『おはよう。‥‥相変わらずだな。』


「えっ?‥あ‥‥すみません。
 色々入れてたら多くなって‥‥」


『大丈夫、分かってたから。』


一泊だけなのに大きな鞄を持つ私から
笑いながら荷物を受け取ると、
後部座席に置いたあと
助手席のドアを開けてくれた。



筒井さんがまた車を運転できる日が
来たことも嬉しいけど、またこうして
そばに居られる幸せにやっぱり
泣きそうになる


『どうした?』


サングラス越しに助手席の私を見る
だけで顔が赤くなり恥ずかしくて
俯いた


なんか‥‥今日の筒井さん‥‥
一段と素敵に見えてしまう‥‥


冬服の私服姿を見慣れていないからか、
カジュアルでラフなのにモデルのように
似合ってる‥‥



『フッ‥‥顔真っ赤だぞ。
 先にスーパーに寄るからな。』


「は、はい‥お願いします。」


伸びてきた左手が優しく私の頬を掠めると車がゆっくり動き出した。


「左腕ツラクないですか?」


『ん?ああ‥‥ものすごい負荷は
かけれないけど、週に何度かリハビリ
してるから日常生活には支障はない。
悪いが手伝ってくれるか?』


「はい、任せてください。」



スーパーで食材とお酒を沢山購入し
マンションに筒井さんと往復して運ぶと
リビングに入る前で何故か
足が止まってしまった



『‥‥俺のせいだな‥‥おいで
 もう大丈夫だから。』


トクン


ここに入るのはあの日以来だったから、
多分無意識に緊張したんだと思う


私の手をとりしっかりと繋ぐと、
そのままソファに行き私を膝に
座らせ優しく抱きしめてくれた


『もうあんなことはしないとお前に
 約束するよ‥‥』


筒井さん‥‥‥


腕の中でしばらく温もりを感じ、
体の強張りも解けていく。


大丈夫‥‥
あんなことを何も考えずに言う人じゃ
ないということはずっと見てきたから
ちゃんと分かってる。



パーティ用のご飯の仕込みをある程度
終わらせるとソファで筒井さんと
ゆっくりしていた。



『アイツらが来たら夜は長いから、
 一旦少し寝るぞ。』