筒井さんに別れを告げられた時に、
亮さんや蓮見さんとご飯なんてもう
食べられないなんて考えていたから、
すごく嬉しい‥‥


『(フッ‥‥。じゃあ金曜日、
 お前の得意な大荷物準備しておけ。
 土曜日の朝迎えにいくから、
 スーパーに寄ればいい。)』


ドキッ‥‥


泊まりと聞いて、みるみる顔が
熱くなり片手で顔を仰ぐ


みんないるし、みんなで泊まるだけ
かもしれないのに、昨日抱き締められて
朝まで眠ったあと、ここで筒井さんと
キスをしたことを思い出す



『(お前‥‥今変なこと考えて
 なかったか?)』


「えっ!!?へ、変なことって‥
 な、何言ってるんですか!?
 準備ですね、はい、します!」


『(ハハッ‥‥それじゃ明日から
 また仕事だから‥おやすみ。)』


「おやすみなさい‥」


興奮したから変に目が覚めてしまい、
クリスマスに何を作ろうか考えている
うちに眠りについた。



クリスマスに向けて
慌ただしく忙しい社内は、
チョコレートメーカーだけあり、
どの部署もとても忙しく、受付業務が
終わった後、私と佐藤さんも総務課に
行き残業をする日が続いていた。


『井崎さん、今年度内の出張者の
 ホテルと交通路の予約の最終確認を
 して申請を経理に持って行けそう?』


「はい、備品の在庫数の確認が
 終わったらすぐやります。」


久しぶりに古平さんの隣のデスクで、
事務作業をしながら、コピーや
他場所へのお使いなどで、ヒールを
脱ぎバレーシューズで駆け回っていた


去年もお手伝いしたけど、
受付にいると知らない上の世界が
こうして動いていることを改めて知れて
みんなを尊敬できる


「ワッ!!す、すいません!!」


資料室に前年度のデータを返すために
ファイルを沢山持っていたため、
前を歩いていた人にぶつかり、
何冊か床に落としてしまった。


『井崎さん、怪我はない?』


立田さん‥‥


週明け、仕事終わりに立田さんに
正直な気持ちを伝えたばかりで、
会うのが少し気まずさはあったものの、
笑顔で受け止めてくれた‥‥



『気持ちを伝えたかったから、
 井崎さんが幸せならいいんだよ。
 楽しかったから、また同僚として
 普通にみんなとご飯に行こう。』


そう言ってくれて、とても優しくて
いい人なだけに、胸が苦しくなった。



「すみません‥不注意で。」


『気にしないで。こんなの
 どうってことないから。
 手伝いたいけどこれから会議なんだ。
 1人で行ける?』
 

「はい、こう見えて力持ちなんです。」