『今年もまた別荘行くけど、
 滉一が居なくても誘ってもいい?』


蓮見さん‥‥‥


あの場所が私にとって、とても
思い出深い場所なことを蓮見さんも
亮さんも分かってる


きっとそれなりに楽しいとは
思うんだけど、ふとした時に
思い出すことが多すぎて悲しくなる
可能性があるかもしれない


「お邪魔じゃなければ是非‥‥
 またサイクリングもしたいです」


『了解。よし、じゃあ今年は30日から
 遠出もしながら5泊行く予定だけど、
 日程が大丈夫そうなら行こう。』


5泊!!?


11連休中の5日間もみんなと過ごせる
なんてほんとにいいのだろうか‥‥
嬉しいけど、筒井さんがいない今、
私はそこにいていいのか不安だ。



『そういえば井崎さんって海外とか
 行ったことある?』


「えっ?海外ですか?
 大学のサークルが海外を中心に
 学ぶものだったのであります。
 亮さんはありますか?」


サークル活動で近いところだと
タイや韓国も行ったし、
カナダには英語の勉強の為
ショートステイをしたこともある。


社会人になったらなかなか
行けないけど、あの頃はお金は
なくなったけど本当に楽しかったな‥



『俺は遊びばっかりだからハワイとか
 グアムとかが多いよ。向こうでも
 結局走ったりロードバイクしてる
 けどね?』



「海外でサイクリングとか最高ですね!
 ハワイとか行ったことないのでいつか
 行ってみたいです。」


『じゃあ海外行っちゃう?』


えっ?


蓮見さんが美味しそうに
ワインを口に含み喉に流すと
私の方を見てニコッと笑った。


「行くって‥‥そんな簡単に‥‥」


『今年の別荘は海外の別荘だから。』


「‥‥‥ええっ!!!?」


サラッと普通に言うけど、
蓮見さんって本当に何者!?


私の顔が面白かったのか、
喉を鳴らして笑っているけど、
本当に住む世界が違う人達と
いるんじゃないかって怖くなる‥


『俺の別荘というより、家のだから
 親や祖父母達の財産って感じだよ。
 俺は普通の会社員だからさぁ‥。
 それで行く?行かない?
 ‥‥と言ってもなぁ‥‥
 チケット取っちゃってるから
 いまさら行かないのもねぇ?
 亮どうする?』


『ああ‥‥そうだな。
 キャンセル料はかかるし困ったな‥。
 井崎さんが行ければいいんだけど。』


亮さんまで蓮見さんと一緒になって
言ってくるなんて‥‥‥


「‥‥‥行きます。」