『霞ちゃんまだゆっくりしてくだろ?
 俺ちょっと用事で抜けるから、
 夕方くらいにまた迎えに来るよ。』


「えっ?そんな‥大丈夫です!
 駅近いですし、電車で帰れます。
 お休みの日なので
 ゆっくりされてください。」


『そう?あっ、そうだよねー。
 俺がいつ来るか分からないと滉一と
 イチャイチャ出来ないもんね?』


ドキッ


椅子から立ち上がって私達を交互に
見る蓮見さんにまた顔が赤くなる


イチャイチャだなんて‥‥‥
筒井さんは怪我してるからそんなこと
しないのに‥‥


『拓巳、からかうな。』


『はいはい、何かあったらメールしろ。
 なんでも買ってやるよ。』


『フッ‥‥頼もしいな。』


『じゃあな、霞ちゃんも明日ね。』


「はい、ありがとうございます。」


立ち上がって蓮見さんにお辞儀を
丁寧にすると、手を振り部屋から
出て行ってしまった。


「に、荷物しまいますね!
 取り出しやすいように入れます
 から‥うわっ!」


赤い顔を見られたくなくて収納棚の
方へ行こうとしたら、手首を掴まれ
そのままベッドにまた座らされた


『こら、まだ顔見てないだろ?』


トクン


「わ、私はもう見ました‥‥それに
 今はちょっと‥‥待って‥ンッ」


啄むようなキスをされると、
そのまま一旦離れた唇はまたすぐに
触れ、今度は深いキスに変わった


「ンッ‥‥筒井さ‥‥傷が‥‥」


頭から左眼にかけて包帯で巻かれ
縫合したって聞いてるし、全身打撲
で動くのも痛い筈なのに‥‥


『‥‥‥足りないな。』


「えっ?‥ンンッ!」


怪我してる人とは思えないほど、
いつもと変わらないキスに、
最初は心配で抵抗しつつも、途中からは
体の力が抜けてしまい、解放される
頃には筒井さんの右肩にもたれるほど
グッタリしてしまった。




「‥‥傷痛みますか?」


頭とおでこ、瞼は何ヶ所か縫ったものの
来週には抜糸出来るみたいだった。


1番はやっぱり左肩から手首まで
しっかりと固定されたギブスで、
少しだけ出ていた指先にそっと触れた


2週間は様子を見ながら入院になると、
先程診察に来ていた先生に言われた
そうで、パソコンのアドレスから
多分社長にメールを送っていたと思う


片手だけだと不便だよね‥‥


さっきも動く右手に点滴を打っていたし
トイレも室内にあるけど、動くのも
ツラそうで手を貸して支えたばかりだ。


『フッ‥‥流石にな‥。』