まだ完全に不安は拭い切れて
いないものの、命に別状はないと分かり
震えが先程よりは治っている


亮さんを待ってから車で家まで
送ってもらい、その日は早めに
休むことにした。


明日もう一度病院に行く為に、
今は少しでも体力を落としたくない


泣き過ぎて腫れた顔を冷やし、
ベッドに入ると、筒井さんに
頂いた指輪を握りしめ眠った



次の日、筒井さんのマンションに
呼び出された私は、頂いた鍵を使って
中に入ると、玄関に置いてあった
スーツケースに体が震えた


酷い‥‥‥


トランクは無事だったと聞いていたけど
それでも凹みや傷がついた荷物に
改めてゾッとしたのだ


入院用の着替えや歯ブラシなどの
小物などを色々蓮見さんと相談しながら
購入したり準備をする間に、
亮さんが2人分の故障したスマホの
データのバックアップをパソコンに
移行したりと忙しそうだった。


「亮さん、蓮見さん、これよかったら
 食べませんか?昨日張り切って
 作り過ぎてしまったので‥」


筒井さんの為に作ったものでは
あったけど、勿体無くてタッパーに
入れて沢山持ってきていたのだ。


つまめるようなおかず類と
おにぎりを握ってきたので
大したものではないけど、
遠慮がちに袋から取り出してみた。


『井崎さんありがとう、お腹
 空いてたからいただくよ。』


『俺も!ありがとう霞ちゃん。』


打撲の痛みが残る亮さんも、
昨日遅くまで付き合ってくれた蓮見さん
も疲れが見えていたからこそ
何か役に立ちたかった。


『面会は午後14時からだから、
 食べたら準備して向かおう。
 亮は体を休めろ。』


『悪い‥‥また落ち着いたら
 滉一のとこに行くから。
 井崎さんも頼むね。』


「はい、ゆっくり休んでください。」


歩くのもツラそうな亮さんと
エレベーターホールで別れると、
蓮見さんと荷物を車に載せて
また病院に向かった。



『入院案内の紙出してくるから、
 先に病室行ってて。荷物は
 後で持ってくから。』


「えっ?‥でも‥」


『早く行っていいよ。
 滉一も待ってると思うから‥』


蓮見さん‥‥


お辞儀をした後、昨日帰る前に覚えた
病室を目指して向かった


寝ていたら起こしてしまうと
いけないとは思いつつも、
部屋の前で深呼吸をしたあと
小さく扉をノックをしてみた。


コンコン


『‥‥‥どうぞ』


ドクン