教室へ戻り、数学の勉強のためにロッカーから参考書やら問題集やらを取り出しスクバに入れる。


糸瀬くんは今すぐにでもいけそうな感じだったけどドアのとこで私の準備を待ってくれた。


やっぱ、立ってるだけで様になるなぁ。


圧倒的なビジュアル。


待たせてちゃって申し訳ないと思いながらフルスピードで準備を完了させた。


「おまたせ。」


「行くか。」


糸瀬くんが方向転換した瞬間ピアスが光ってもう気づいたときには目を奪われてる。


糸瀬くんには不可解そうな表情をして


「何見てんだ。」


と睨まれてしまう。


「見てないし!」


「いや、絶対見てただろ。」


「そんなことありませんー。」


むーっとすると糸瀬くんは鼻で笑う。


やっぱり、なぜか糸瀬くんには敵わない。


身長も、成績も、ふとした瞬間に見せる優しさも、全部糸瀬くんには勝てない。


ほんとに糸瀬くんは最強。


下駄箱で彼はオシャレなスニーカーに履き替えて私もローファーを履く。