「糸瀬くん、おうちの最寄り駅どこ?」


そこの最寄り駅にあるカフェとかファミレスとかでやるのが1番良さそう。


「桃ヶ丘駅。」


糸瀬くんが言った駅は、この学校の最寄り駅から10分ほど電車に乗ると着く駅だ。


そして同時に私の最寄り駅でもあった。


「えっ!ほんと!?私も!」


糸瀬くんは珍しくほんの少しだけ表情筋が動き、驚いた様子だったけど口では


「ふーん。」


としか言わなかった。


相変わらずのクールぶり。


学校からそんなに離れてないからその桃ヶ丘駅の周辺に住んでいる生徒は多い。


朝とか、よく電車や駅周辺で同じ制服の人を見つけるけど糸瀬くんは見かけたことがないな。


見かけたら絶対分かるはずなんだけどな。


「桃ヶ丘のカフェにする?」


と聞く。


この夕方だと、ファミレスは学生が多くて騒がしいだろうからカフェの方がいいかもしれない。


「さんせー。」


糸瀬くんの賛成ももらったことで桃ヶ丘のカフェで勉強をすることに決まった。