「なんでいるの?」


「普通にいるだけだけど。てかあんたこそなんで仕事してんの?日直じゃないだろ。」


「さぁ?なんのこと?」


「とぼけんな。」


とぼけてないし。いや、やっぱとぼけたかも。


糸瀬くん、結華ちゃんとデートじゃなかったの。


ほんと意味わかんない人だな。


色々疑問が浮かんできて糸瀬くんに尋ねたかったけど、とりあえず先にノートを拾い始める。


2人で集めればすぐにノートをまた山にすることができた。


「ありがとう。拾ってもらっちゃってごめんね。」


まあ、ノート拾うの手伝ってくれたことは確かだし感謝の言葉を述べる。


「じゃーね。」


糸瀬くんに別れを告げてまたノートを持って歩き出す。


「貸せ。」


横からそんな言葉が聞こえた瞬間、手元が軽くなった。


ノートで阻まれていた自分の視界が急に広くなった。


「え?」


糸瀬くんの方を向くともう彼は私が持っていたノートの山を手に乗せていた。