「知ってた」




 君は、いつもそうやって私よりも先に居るんだ。


 どうやったって追いつけそうもない。


 回想をひねってみたって、思い出の中の君をたぐっても、君の能力にはかないそうにもない。


 ねえ、君は、どうしていつも前を向いていたの?


 どうやって前を向けていたかなんて、今になってはもう聞けない。


 君は、手を振りかざして大きく大きく背伸びをしたところに居る。


 どうしようか、私なんて、まだ届きそうにもないよ。


 怖くて聞けなかった、そんな自分を責めてばかりいた、そんな時間ももう終わりにしようか。





 ねえ、君は、何を見ていたの。


 「さようならくらい、言わせてほしかった」


 今は亡き、友へ捧ぐ-…