屋上に出ると、夕陽を見上げる匠海くんの姿があった。


私が近づくと、気がついて振り返った。



「久しぶり、日葵」


「うん」


「ごめん、メール返してなくて」


「ううん」



なんだか気まづくて、うまく話が続かなかった。


もうすぐ夕陽が沈もうとしている。



「俺さ、小さい頃からおばあちゃんと一緒に暮らしてるんだ。うちシングルマザーだから、母方のおばあちゃんと母さんと俺の3人暮らし」


「そうなんだ」


「でも…」



匠海くんが言葉を詰まらせた。


いつの間にか夕陽は沈んでいて、空が青一色になっている。


ブルーモーメントだ。