山崎side



テーマパークに行った翌週。



いつもの学校での委員会の作業を真白ちゃんとしていた。



真白ちゃんはいつものごとく作業に熱中している。



そういえば・・・真白ちゃんって男子から下の名前で呼ばれてるところ、見たことないな。



伊織も“真白”呼びだったし・・・。



ちょっと、呼んでみたい。



「ねぇ、唯ちゃん」



「!・・・なんですか?」



ビクッと反応したあと、何事も無かったかのように振る舞う真白ちゃん。



おっ、反応した。



「クスッ・・・ううん、なんでもない。可愛いなーと思って」



「っ、そうですか」



「ふふっ・・・耳赤くなってる、照れた?」



俺の言葉でそっぽを向いた真白ちゃんの耳が真っ赤になっていた。



それを指摘すると、バッと耳を手で押えてこちらを向く。



「・・・はい、照れました・・・いつも苗字でしか・・・呼ばれないから・・・」



手にしていた書類で顔を隠しながら消え入りそうなか細い声でそう答えた真白ちゃん。



「ふぅん、そうなの?じゃあ俺だけ?君の事、名前で呼んだの」



真白ちゃんの反応が可愛くてついつい意地悪くなってしまう俺。



「ッ・・・だからっ・・・そう言ってますっ・・・何回も言わせないでっ・・・!!」



「そっか。“唯ちゃん”は俺に名前呼ばれて照れちゃったのか」



照れて語尾が強くなり始めてる真白ちゃんを愛おしく思いながら微笑む。



「っ〜!!もう!!しつこい!!それより早くこれ!!片付けてください!!私!!足りないページコピーしてきます!」



「うぷっ・・・」



手にしていた書類を俺の顔に押付けて、バタバタと走って教室から出ていく真白ちゃん。



顔に押し付けられた書類を手に取り、出ていった真白ちゃんのことを見つめる。



「ふっ・・・原本持ってってないのに何がコピーなんだか・・・可愛いなぁ・・・」



後ろ姿をみつめながらボソッと呟く。



それにしても・・・名前呼びの方が反応してたな・・・。



これからは名前で呼んでみるか。



苗字だと“まひろ”って言っちゃいそうだし・・・。



意外と辻本さんのこと引きずってんのか?



いや、でも今は圧倒的に唯ちゃんの方に気持ち向いてるもんな。



そんなことを考えていると、パタパタと走ってくる唯ちゃんが見える。



だって・・・姿見ただけで嬉しくなるんだから。