真白ちゃんをベンチに座らせてから、近くの自販機に飲み物を買いに行く。



真白ちゃん、確かこの紅茶良く飲んでたよね。



そう考えながら、紅茶と自分用のコーヒーのボタンを押す。



ガタンと音を立てて出てきた飲み物を持って、真白ちゃんが座っているベンチまで歩いていく。



「はい、紅茶」



「・・・ありがとうございます」



真白ちゃんに紅茶を差し出すと、おずおずと紅茶を受け取った。



「少しは落ち着いた?」



「はい、少し・・・」



缶コーヒーを開けながら、真白ちゃんの隣に座る。



さっきに比べれば落ち着きは取り戻してるけど・・・まだ引きずってはいそうだな。



「そっか。もう少し休憩してようか。俺も疲れたし」



そう言って、コーヒーを1口飲む。



とほろ苦い味が口の中を支配する。



やっぱ、コーヒー美味いな。



そんなことを考えていると、真白ちゃんが何かを言いたそうにしている。



どうしたんだろう・・・。



「・・・あの・・・すみませんでした・・・」



「ん?何が?」



謝られる心当たりがなくて首を傾げながら真白ちゃんを見る。



だけど、視線は合わない。



真白ちゃんは、俺が渡した紅茶を両手で持ち、それを見つめていた。



「・・・その・・・お化け屋敷の中で・・・ずっとしがみついてしまって・・・」



恥ずかしいのか、うつむいたままボソボソと喋り出す真白ちゃん。



その姿がいじらしくて胸がキュウッと締め付けられる。



「怖かったんでしょ?仕方ないよ。・・・それに俺、真白ちゃんに抱きついてもらえてラッキーとか思ってたから、気にしなくていいよ」



「え、ラッキー?なんで?」



「なんでって・・・そんなの、好きな子に触れたいって思ってるからだよ」



俺の方を向いた真白ちゃんのことを見つめ、愛おしく思いながら微笑む。



「結構アプローチしてたんだけど・・・気付かなかった?」



「・・・え──・・・。・・・はっ・・・!?それって・・・!?」




最初はキョトンとした表情を浮かべていたけど、言葉の意味を理解したのか段々と顔が赤くなっていき、終いにはゆでダコのように真っ赤になる真白ちゃん。



ほんと、可愛い。



「ふふっ、完全に落ち着き取り戻したみたいだね」



「え、あ・・・え・・・?」



口をパクパクさせながら俺の顔を見つめている真白ちゃん。



「次、行こっか。・・・立てる?」



「は、はい」



戸惑っているであろう真白ちゃんに声をかけて、次のアトラクションに向かった。