「クスッ・・・怖いなら手、繋ごうか?」



「い、良いです!!遠慮します!!」



真白ちゃんに手を差し出すけど、それを避けて前へと進んでいく。



うーん・・・手ぇ繋ぎたかったんだけどなぁ。



そう思いながら真白ちゃんの隣に並び立ち、歩いていく。



「ア゙ア゙ア゙・・・」



「ヒィッ・・・!?」



「っ・・・!?」



少し歩くと真横からお化け役が姿を現し、それに驚いた真白ちゃんは、俺に抱きついてくる。



俺的には役得だけど・・・相手から来られるとちょっと照れるな。



「・・・大丈夫?真白ちゃん」



「は・・・はい・・・」



さっきよりも強い力で抱きしめてくる真白ちゃんに、ドキドキと胸が高鳴る。



こんなに長い時間近付かれたの、初めてじゃないか?



「・・・このまま行こっか。真白ちゃんも、その方が良さそうだから」



「は、はい・・・」



怖がりながら俺にしがみつく真白ちゃん。



いつもなら“離れてください”とかって言われそうなものなのに、今回は自分からくっついてきてる。



真白ちゃんが触れている部分がすごく熱い。



それに、さっきから心臓がバクバクしてる。



好きな子にこんなに密着されれば仕方ないか。



その後も、お化けが出る度に俺を強く抱きしめる真白ちゃん。



俺は、空いてる手で口を押さえながら出口へと向かう。



しばらく歩いていると、出口らしきものが見えてきた。



もう少しこの状況を楽しみたかったんだけど・・・真白ちゃんが限界みたいだし・・・仕方ないか。



「真白ちゃん、出口見えたよ。もう少しだからね」



「は、はい──」



「ア゙ア゙ア゙・・・!!」



「キャァァッッ!!」



出口が見えた所で、最後の脅かし役が目の前に現れる。



俺の服をギュッと掴み、抱きつく力を強める真白ちゃん。



出口が見えて安心した所で脅かされるとなると、相当効いただろうな。



「大丈夫大丈夫、今ので最後だよ」



「ほ、本当ですか・・・?」



俺に抱きつく真白ちゃんを見ながら声をかけると、涙目の状態で上目遣いで見上げてくる真白ちゃん。



それは・・・反則でしょ・・・。



「うん、本当。ほら、外に出れたよ。頑張ったね」



外に出たタイミングで抱きついたままの真白ちゃんの頭を撫でる。



ピクッと反応はするけど、振り払おうとはせず、じっとしている。



いつもなら振り払うのに・・・余程怖かったんだなぁ。