中学3年の修学旅行──



俺は女子達に囲まれていた。



いわゆる、逆ナンと言うやつだ。



いくら断ってもしつこく迫ってくる女子達・・・嫌すぎてため息をつこうとした時──その子は現れた。



『まひろもどう?イケメンいるよ!』



俺を囲んでいた女子が、髪の毛をピンでとめてサイドで結っている女の子に声をかける。



あぁ・・・また増えるのか・・・今のままでもしつこいのに、この子まで増えたら・・・。



『・・・別にいい、キョーミないし。それに、その人めっちゃ困ってるじゃん。・・・それと、さっき鬼教官がここら辺巡回してたからヤバいと思うよ』



『えっ、マジィ!?こんなところ見られたら鉄拳喰らうじゃん!!早く行こ!』



その子の一言で、周りにいた子達はそさくさとその場を退散していく。



『・・・嘘だけど。・・・すみません、バカな友人で。ご迷惑おかけしました』



去っていった女子達にべーっと舌を出したあと、ペコッと頭を下げる。



『あ・・・うん・・・大丈夫・・・』



興味ない・・・か。



俺、物心ついた頃から逆ナンばっかされてて興味ないって言われたの初めてだ。



俺に興味が無い子・・・逆に興味が湧いてしまった。



あの子達が呼んでたの・・・まひろって言ってたよね?



まひろちゃんか・・・。



また、会いたいな。



そう思って、“まひろ”という名前の子を探していた。



そして、高校に入学した時──辻本 茉弘ちゃんに出会った。



髪の毛はかなり短くなってたし、身長も会った時よりかなり伸びていたけど・・・雰囲気はその子そっくりだった。



間違いない・・・この子だ。



この子が・・・あの時俺を助けてくれた子だ。



そう思っていた。



2年のマドンナと協力して辻本さんに告白をした。



だけど、辻本さんは俺の事を覚えておらず、修学旅行は、俺の行った奈良ではなく沖縄だと言っていた。



沖縄に行っていたとしたら、俺が会ったのは辻本さんじゃない、ということになる。



・・・会った時から、少しだけおかしいなとは思っていた。



あの時聞いた声とは、違っていたから。



だけど、あの時は風邪をひいていたのかもしれない。



そんな風に考えていたんだけど・・・やっぱり、違ったみたいだ。



それでも希望を捨てきれず、迫ったんだけど・・・二海の野郎に妨害された。



悔しいけどギャラリーも増えたし・・・今は、引くしかない。



そう思っていた。