「・・・ねぇ、こっち向いて」



「紙飛行機なんかより先に仕事してください。放課後居残りになりますよ」



「いいから、こっち向いて」



「・・・ハァ・・・」



ため息をついて、やっていた書類を机に置き、こっちの方を見ようとする真白ちゃん。



それに合わせて、俺はガタッと音を立てて立ち上がる。



「一体なんです──っ!?」



言葉の途中で、真白ちゃんの言葉が途切れる。



それと同時に、俺は真白ちゃんのプルプルな唇に優しくキスを落とした。



薄目を開けると、目を見開いている真白ちゃんが見えた。



ゆっくり離れると、ゆでダコのように赤くなった真白ちゃんが、目を白黒とさせていた。



「・・・スキあり」



アワアワと可愛らしい反応を示す真白ちゃんのことを微笑ましく思いながら、近い距離のまま低めの声でささやいた。



「な・・・は・・・?えっ・・・!?」



顔を赤くして戸惑ってる真白ちゃん。



ヤバ・・・可愛い。



「いやっ・・・あの・・・な、なんで今・・・」



「んー?なんか、唇すごくツヤツヤしてたから、なにか塗ってるのかなと思って。この感じは・・・もしかしてグロス?」



唇についたものを触りながら真白ちゃんに聞く。



まぁ、テンパってるみたいだし答えが返ってくるとは思ってないけど。



「と、友達が試供品もらったからって、さっき付けられて・・・え?」



「そっか、似合ってると思うよ。・・・今ので、だいぶ取れちゃったけど」



唇についたグロスを親指で拭いながら微笑む。



それを見ていた真白ちゃんは、目を見開いた後にうつむいた。



これで、ちょっとは意識してくれたかな?



「・・・あ、もうこんな時間だね、早く作業終わらせよっか」



「え・・・あ・・・はい」



そう言って作業に戻る真白ちゃん。



だけど、さっきまでならやらなそうなミスをし始めてアワアワと訂正している。



その姿を見て、思わずクスッと笑みが浮かぶ。



あーぁ、集中出来なくなってる。



この調子なら、押せばいけそうかな。