その晩からヴァールはプリンツェッスィンに輸血していく。だが一向に彼女は目を覚まさなかった。

 ある日ゲニーが魔力制御の論文をヴァールの机に置く。それには血液の次に唾液、体液の中でも愛液、精液が魔力を整えるのに有効と書いてあった。

 それを見たヴァールは意を決する。その晩いつも通りプリンツェッスィンへ輸血する為に彼女の部屋に入った。

「シャイネン、部屋から出ていってくれないかな。グレンも」

 ベットの側で仕えていたシャイネンと自分の傍に居るグレンツェンへそう言う。

「姫様に何をする気ですか? 若でも事と次第によっては許しませんよ」
「おい、こっちこい」

 こういう時は察しの良いグレンツェンはシャイネンを無理やり連れて部屋の外へ出た。

「論文に精液が最も魔力を整えるのに効くって書いてあったんだよ」
「まさか!」

 シャイネンはそう言い部屋に戻ろうとするが、グレンツェンに止められてしまう。

「姫さんが生きるか死ぬかなんだぞ!」
「でも! それでは姫様は! あ〜もう! 私は結局何も出来ないの?! 姫様が呪詛をかけられた時も、姫様の大切にしてた乙女も! アンタは知らないだろうけど、姫様はずっと夢見ていたのよ?! 若との初めてを!」

 シャイネンは涙目でグレンツェンに訴えた。

「は? 坊が何も考えずに姫さんを抱くと思ってるのか? 今まで約十八年間手を出さなかったんだぞ?! 普通あんなに好きな女なら兄妹だろうが一夜の過ちくらいあるだろうに、坊はそんなことしなかった。姫さんの体に触れる時だって快感よりも、いつも自責の念にかられてたんだぞ! そんな鉄の男がなにも感じないわけがないだろ! 坊は姫さんが死ぬのが何よりも嫌なんだよ! もし自分以外の精じゃないといけないと言われれば、黙って身を引くだろうな! 坊は生半可な気持ちで姫さんを愛してるんじゃない!」

 グレンツェンは一気に捲し立てる。

「俺たちは、主を守る義務……いや、使命がある。今俺たちに出来ることは、二人が無事添い遂げられるよう、誰も邪魔が入らないよう見張ることだけだ」

 グレンツェンは真剣な表情でシャイネンを見つめた。

「うぅ、ああ……うあああん!」

 シャイネンはその場に泣き崩れる。

「姫様が……私の姫様がぁ」
「あー、泣くなよ」

 グレンツェンはシャイネンの頭をぽんぽんと撫で、抱きしめた。

「主が大人になるのは確かに……くるものはあることは認める。俺も坊がなぁ……あんなに小さかった坊が男になるとか……はぁ、時は残酷だな」
「アンタと若は同じ年でしょ」
「あれ? そうだっけ? お前も姫さんより一個しか上じゃねーじゃねーか」
「ゼロよりはマシよ。そして何抱きついてるの。変態」

 シャイネンはグレンツェンの鳩尾(みぞおち)を拳で殴る。

「ぐぇ。夫婦なのにダメなのかよ」
「ここじゃダメよ。あと〝まだ〟夫婦じゃないわ」
「シャイはツンだよなぁ、まあそこも可愛くないわけじゃないけど」

 グレンツェンは耳元でそういい、そこにキスをした。

「だからダメだって言ってるでしょ!」

 そして二発目の鉄拳が綺麗にグレンツェンの鳩尾に入ったのだった。



 ヴァールはプリンツェッスィンの部屋の一つ一つの灯火を消していき、残るはベッドサイドのみになった。

 ベットに仰向けで寝ているプリンツェッスィンに覆いかぶさる。右手で眼鏡を外し、髪をかきあげた。

「ツェスィー、今から君を抱くよ。ごめんね。寝てる間に君の純潔を奪ってしまうのを許してね」

 プリンツェッスィンの頭を撫で、額と額を合わせ懺悔する。

 そっと唇を合わせ、ちゅっちゅっとリップ音が静かな部屋に響いた。それは段々深くなり、ねっとりとした扇情的な音に変わっていく。

「はぁっ。ツェスィー、愛してるよ」

 しかし愛の言葉を囁いても目の前の寝ているお姫様からは何も返ってこなかった。

 ヴァールはプリンツェッスィンの服を脱がせる。何もまとってない陶器のような白い肌は、扇情的でヴァールのスラックスを張り詰めさせた。

 彼も服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になる。

 そしてプリンツェッスィンの胸をゆっくりと揉みしだいていった。薄桃色のところを避けるようにふにふにと刺激を与えていく。

 可愛いお姫様もヴァールの与える刺激にぴくんぴくんと反応していった。頬は紅潮し、息も段々と早くなる。

「ツェスィー可愛い。ちゃんと感じてくれてるんだね」

 ヴァールはそう言い、プリンツェッスィンの薄桃色の突起に吸い付いた。

 ちゅううと刺激を与えていく。それだけで軽くイってしまうプリンツェッスィンに、更にそこを歯で軽く噛み刺激を与えた。

「――!」

 プリンツェッスィンは胸だけでイってしまう。ヴァールは彼女がイったのを見てホッと胸を撫で下ろした。

「ツェスィー、ちゃんとイけたね。いい子だ」

 ヴァールはプリンツェッスィンの額にキスを落とす。そして愛しい従妹の足を折り曲げて左右に開いた。

 くぱぁと開いた薄桃色の泥濘はとろとろと愛液が溢れ、そこからは淫猥な香りがし、ヴァールの鼻をかすめる。

「ツェスィー、愛してるよ。僕の奥さんは君だけだ。君以外なんて考えられない」

 そう言ったヴァールはその泥濘に顔を(うず)め、ぺちゃぺちゃとその愛液を啜った。

「甘い……。ツェスィーの味、大好きだよ。ずっと味わっていたい」

 そしてくぷぷと指を一本薄桃色の泥濘に(うず)めていく。

 ちゅこちゅこと抽挿を繰り返し、一本また一本と指の数を増やしていった。

 腟内の柔らかさを確認しつつ、抽挿しなから指を広げたり、指を腹の方へ折り曲げプリンツェッスィンのイイところを刺激していく。

「四本目だけど……僕のは人より大きいみたいだから、もう一本余裕で入ったらにするね」

 グレンツェンたちにヴァールのあそこはデカいと言われたこともあり、愛しいプリンツェッスィンを寝てるとはいえ痛がらせることはしたくないのだ。

 叔父や父親のと比べても大差がなかったので、自分のは普通のサイズだと思っていたが、親友たちが嘘をつくはずがないので本当なのだろう。

「もう……いいかな?」

 既にプリンツェッスィンの淫猥な泥濘はヴァールの全ての指を飲み込み広げても痛みはなく、ただビクンビクンと軽くイき続けるだけで快感しか覚えなかった。

 ヴァールはズルリと指を泥濘から引き抜く。手にはてらてらとプリンツェッスィンの愛液が付いていた。その愛液をつーっと愛おしそうに舐め上げ、ヴァールは恍惚とした表情をする。

「じゃあ、入れるね……」

 そしてヴァールはプリンツェッスィンの薄桃色の泥濘に己の肉棒をぬぷぷと沈めていった。丁寧に解したので、プリンツェッスィンは痛そうな表情もせず、頬を赤く染めながら軽く喘ぐ。

「んんっ……」
「はぁ、んん! ツェスィー……気持ちいい。ツェスィーの中トロトロで、柔らかくて……。健気にきゅうきゅう締め付けてきて、最高に気持ちいいよ……。こんな気持ちいいの味わったことない……。んん、全部、入ったよ」

 ヴァールのモノが全て入り、ゆっくりと抽挿を始めた。

「あう……ああん、んん」
「ツェスィーも気持ちいい?」
「んん」
「そっか、気持ちよくてよかった……」

 けしてヴァールの言葉を理解して返事をしてる訳ではなかったが、プリンツェッスィンがイってるのは手に取るように分かる。

 パンパンと段々と早くなる抽挿に合わせて、プリンツェッスィンも可愛い喘ぎ声をあげた。

「「――!!」」

 そして二人は同時に達する。ヴァールの白濁としたものはプリンツェッスィンの腟内(なか)に注がれた。

 達したことにより小さくなったヴァールの肉棒をプリンツェッスィンの泥濘から引き抜き、そこから厭らしく白濁としたものがどろりと溢れ出る。

 その淫猥な情景にまたヴァールは己のものを硬くした。

「……ツェスィー、まだ目を覚まさないね。もっと注ぐから……」

 ヴァールはそれから何度も何度もプリンツェッスィンの腟内(なか)に精を吐き出す。

 そして五度目の吐精をし終わった時、プリンツェッスィンの体が光り輝きだした。

 目が眩むほどの光に包まれたプリンツェッスィンはあの幼い容姿ではなく、大人の女性姿となったのだ。

 胸は母親のアンジュ並に大きく、細いくびれと豊かなボディーライン、背は伸び十八歳の美しい女性になっていた。

「ツェスィー……?!」

 目の前にいる美しい女性がプリンツェッスィンだということが理解出来ないヴァールは驚きふためく。プリンツェッスィン以外ありえないのだが、今までの幼女みたいな姿ではないのだ。ヴァールが驚いて固まっていると、プリンツェッスィンが静かに瞳を開ける。

「兄様……?」
「ツェスィー! ツェスィーだよね?!」
「はい。ツェスィーですよ?」

 ヴァールはプリンツェッスィンをぎゅっと抱き締めた。

「良かった……。ツェスィー……。君は眠っていたんだよ。呪詛によって魔力が暴走して、もう四週間も眠っていたんだ。これ以上眠っていたら、死んでいたかもしれなかったんだよ。良かった……。ツェスィーが死んだら僕は生きていけない……」
「そうだったんですね……。は! じゃあフクス侯爵令嬢は……」

 プリンツェッスィンはフクスが死んだのではないかと青ざめる。

「大丈夫だよ。お母様がフクス侯爵令嬢を助けたから。彼女は今修道院に行って奉仕活動をさせているよ。彼女も十分反省したら、平民にさせるけど普通に生活を送れるようになる」
「そうですか……。良かった……」
「それにツェスィーには言ってなかったけど、バイトル伯爵令嬢たちも生きてる」
「そうなのですか?!」
「うん。僕が呪術で動けない間に、お母様が令嬢たちのところへ行ったんだ。そしたら虫の息だったけど生きていてね。お母様の聖女の力で助けたんだよ。本当にあの人の力は規格外だよ。争いごとに巻き込まれないのはお父様のお陰だね」
「そうだったんですね。良かったです……」

 プリンツェッスィンもホッとした顔をし、微笑んだ。

「ところで何故私もヴァールお兄様も裸なんですか? それに……。何かお股のところが変な感じがします」

 顔を赤らめ、プリンツェッスィンは布団で体を口元まで隠し、上目遣いでヴァールを見つめる。

「……あー。えっと……。その、魔力制御する為に精液が効くって知ってね……。その……ごめんなさい! ツェスィーが寝てる間にしました!」

 ヴァールはその場で土下座した。

「しましたって……えっと、つまりエッチしたってことですか?!」
「はい……」

 そして顔を上げシュンとなる。

「えええ! 兄様としてしまったんですか?! え! 私覚えてません! 兄様との初めて覚えていたかったのに!」

 プリンツェッスィンはショックを受け青ざめた。

「ごめんね……。仕方ないとはいえ、申し訳ないことをしたと思ってるよ」

 目を伏せ謝罪するヴァールを見て、プリンツェッスィンは口を開く。

「兄様……」
「はい……」
「あの、お願いがあるのですが……」

 プリンツェッスィンはおずおずとした。

「何なりと仰ってください」
「もう一度今から初めてしてくれますか?」
「え?」

 愛しい人の意外な発言にヴァールは目を白黒させる。

「ですので、今からまたしてくださいませんか? 確かに初めてではないですが、記憶にある中では初めてです」
「うん、分かった。初めての時よりもっと大切に抱くね」

 ヴァールは微笑み、そのままプリンツェッスィンをそっと押し倒し、唇を重ねた。

「んん」
「ん……はぁ。んん」

 互いを求めるような口付けを交し、銀の橋が架かる。

「出来れば再現して欲しいのです……」
「うん、分かった」

 ヴァールは初めて目合ったときの様にプリンツェッスィンに接した。

「こうやって、キスしたんだ」

 ちゅっちゅっとリップ音をさせ、段々とそれは深くなる。ヴァールはこの世で一番愛しい人とキスを交わした。

「それで、胸をね。こうやって揉んだよ」

 大人の姿になったプリンツェッスィンの大きな胸を優しく揉みしだいていく。ふわふわとした弾力ある肌にヴァールも興奮していった。

「んんっ」
「それで、こうした」

 ヴァールは胸を揉みしだかれただけで軽くイってしまうプリンツェッスィンの薄桃色の突起に吸い付き、甘噛みをする。

「――!!」

 愛しい人に胸を嬲られ、プリンツェッスィンはイってしまった。

 そしてヴァールはプリンツェッスィンの額にキスを落とす。

「ツェスィー、ちゃんとイけたね。いい子だ」

 次に愛しい従妹の足を折り曲げて左右に開いた。

 先程と違い、そこからはヴァールの白濁した精液がどろりと流れ落ちる。

「ツェスィー、愛してるよ。僕の奥さんは君だけだ。君以外なんて考えられない」
「兄様……嬉しい……」
「流石に自分の精液舐めるのはあれだから、そこは飛ばすね」

 えへへと照れながらヴァールはプリンツェッスィンに笑いかけた。

「でもね。君のココを舐めながらこう言ったよ。甘い……。ツェスィーの味、大好きだよ。ずっと味わっていたいって」

 ヴァールはくぷぷと指を一本白濁としたものが溢れる薄桃色の泥濘に(うず)めていく。

 抽挿を繰り返し、一本また一本と指の数を増やしていった。

 既に腟内は柔らかかったが、先程通り抽挿しなから指を広げたり、指を腹の方へ折り曲げプリンツェッスィンのイイところを刺激していく。

 抽挿する度にプリンツェッスィンの愛液と己の出した精が混ざり泡立ち、その扇情的な様はヴァールの肉棒を硬く大きくさせた。

「ああん!」
「ツェスィー、気持ちいい?」
「はい……。そこ凄く気持ちいいです……」
「もっと気持ちよくするね。あとこんなことも言ったよ。四本目だけど……僕のは人より大きいみたいだから、もう一本余裕で入ったらにするねって」

 全ての指を入れ終わり、広げ、柔らかくなったそこを確認する。

「もう……いいかな?」
「はい……」

 プリンツェッスィンはビクンビクンと軽くイき続け、ヴァールの願いを聞き入れた。

 ヴァールはズルリと指を泥濘から引き抜く。手にはプリンツェッスィンの愛液がてらてらと付いていた。先程と違うのはやはり自分の精液も付いていることだろう。

「それで、手を舐めたよ」
「兄様、エッチです……」
「そうかな? 自然な行動だと思うけど? こんなに厭らしくて美味しそうなものが手に付いてたら舐めるでしょ?」
「エッチ……」
「エッチな僕は嫌?」
「いいえ。エッチな兄様も大好きです」
「良かった」

 ヴァールは愛しい人を見つめ、微笑んだ。

「じゃあ、入れるね……」

 そしてプリンツェッスィンの薄桃色の泥濘に己の肉棒をぬぷぷと沈めていく。

「ああん! 兄様が、兄様が入って……んん!」
「何度味わっても最高に気持ちいい……。ツェスィーの中柔らかくて、温かくて……。きゅうきゅう健気に締め付けて気持ちいいよ……。こんなに気持ちいいの味わったことないよ。愛してるよ。僕のお姫様」

 ヴァールはプリンツェッスィンの唇を奪った。にゅるりと舌を絡ませ、彼女の思考をとろとろに溶かしていく。

「ツェスィーも気持ちいい?」
「ああん! はい、気持ち、いいで、す」

 抽挿はパンパンと段々と早くなり、二人の汗ばんだ肌は吸い付き、互いを一つのもののようにした。

「「――!!」」

 そしてまた二人はキスしながら同時に達してしまう。ヴァールの白濁としたものはプリンツェッスィンの腟内(なか)に更に注がれた。

「兄様……。凄かったです……」
「ツェスィー、それ他の男に言っちゃだめだからね。男を煽るの上手いから気を付けて」

 ヴァールは、はぁはぁと淫らに呼吸をするプリンツェッスィンを注意する。

「ふふ、気をつけようがないですよ。だって兄様にしか言わないですし、兄様としかしませんもの」
「当たり前だよ。僕の目の黒いうちはそんなことさせないから」

 彼は困ったようにプリンツェッスィンに笑いかけた。

「……兄様って意外と独占欲あるんですね」
「あれ? 知らなかった? 僕はツェスィーの事になると誰よりも貪欲になるんだよ」
「私も兄様のことになると誰よりも貪欲になります」

 そして二人はじっと見つめ合う。

「愛してるよ、ツェスィー」
「私も愛してます、ヴァールお兄様」

 最後に二人は、二度と離れ離れにはならないと誓いを立てるように、慈しむように唇を合わせるのだった。