華やかな宴が終わり、来賓がどんどん帰っていく。

 プリンツェッスィンはある老夫人に足が悪いから出口まで連れてって欲しいと声をかけられ、心優しい彼女はその案内をしていた。

「王女様、申し訳ありませんでした。今すぐ会場へお戻りください。孫が人質に取られたんです。後で私はどんな罰でも受けます」

 王女にあるしも関わらず一老女に優しくするプリンツェッスィンに絆された老婦人は、カタカタと震え土下座をする。

 何かが起こったのかとプリンツェッスィンは背筋を凍らせた。すぐさま会場へ戻るが、ヴァールの姿を探しても見つからない。

 嫌な予感がしたプリンツェッスィンは、壊すとそのくれた人の元へ導いてくれる魔法をかけてあるヴァールに貰った髪飾りの石を壊した。そうするとキラキラと光の筋が地面へ現れ、ヴァールへの道筋が分かるのだ。

 そしてシャイネンと共にヴァールの所へ移動する。プリンツェッスィンはゲニーにこっそりその魔法を教えて貰っていたのだ。



「それで、ツェスィーはどこかな?」

 ヴァールは城内の数ある客室の一部屋にいた。そして目の前の仲間と見られる男女数名を従えた波打つ黒髪の女性を睨みつける。横にはグレンツェンも居て、懐のナイフを今にも取り出そうと思ってる程怒りに振るえていた。ヴァールに止められているからしないだけで、本当は殺るつもりでいるのだ。

 波打つ黒髪の女性はヘクセ・フクス侯爵令嬢で、現王政反対派の筆頭のフクス侯爵の娘である。つまり、プリンツェッスィンたちの命が危険にさらされてもおかしくないのだ。

「おい、シャイネンもどこにいる? 約束通りここに来たんだから差し出せ!」

 ヘクセ侯爵令嬢は片方の口角を上げ、高笑いをする。

「まあまあ、お座り下さい。プリンツェッスィン王女様とお付きの女性はこちらで預かってます。お渡ししても良いですよ。でも、条件を飲んでくれたら……ですが」
「条件は何かな?」

 ヴァールは指示された通りヘクセから向かい合ったように座り、冷たい目線を彼女に向けた。

「ただお茶を御一緒して欲しいだけですわ。こちらをどうぞ。我が領地で取れた茶葉になります」
「……では頂くよ」
「俺もかよ……分かった」

 二人は一気に飲み干す。何か毒物は入ってるかは見え見えだが愛しい人を守るためなので身の危険など安いものなのだ。

「うぅ……!」
「うっ……!」

 ヴァールとグレンツェンは飲み干した瞬間その場に崩れ落ちる。額には汗が滲み、意識を手放した。ヴァールとグレンツェンの下半身は張り詰め、男の象徴がテントを張っている。

「はぁ……。やっとヴァール様が手に入ったわ。ずっとお慕いしておりましたの。学園に入る前からずっとですわ。私の王子様は貴方でしたの」

 ヘクセは下着姿になり、ヴァールの服を剥いでいった。そしてヴァールがとうとう下履一枚にされたとき、部屋の扉の方から爆発音が聞こえる。

「ヴァールお兄様!」

 土煙の向こうには部屋の扉を魔法で破壊したプリンツェッスィンと、鬼のような形相でヘクセたちを睨みつけるシャイネンがいた。

「小癪な! 皆の者、やっておしまい!」

 へクセの合図とともに、彼女の仲間が一斉にプリンツェッスィンたちへ襲いかかる。

「私を誰だと思ってるのかしら! 」

 プリンツェッスィンの魔力のベールが彼女を包み、そして詠唱した。

「ベヌツエン・マギー・エクスプロジィオーン(爆炎)!」

 グレンツェンがプリンツェッスィンたちと初めて会った時放った爆炎と比にならない膨大な威力の炎がへクセたちを包む。

 世界一の天才魔法使いの娘であるプリンツェッスィンの魔力は絶大で規格外なのだ。怒りながらも焼死しないように加減はしたが、それでも彼女たちはもがき苦しむことになる。

 消し炭のようになったヘクセたちは気を失った。そしてシャイネンはすかさず彼女たちを魔法で出来た魔力を吸い上げる縄で縛り上げる。そして城仕えの魔法騎士を呼び、へクセたちは連れていかれた。



「兄様! 起きてください!」

 プリンツェッスィンはヴァールの肩を揺さぶり、彼の顔をペチペチと叩く。

「んん……。え? ツェスィー?! 無事だったんだね!」
「私は最初から無事です! 無事じゃないのは兄様ではないですか! ココがこんなになってるのはあの令嬢のせいですか?」

 スラックスを張り詰めさせてる男の主張を見てプリンツェッスィンは激怒した。普段は誰に対しても広い心を持ってるプリンツェッスィンだが、ヴァールに関しては心が狭くなるのだ。

「大丈夫だよ。ツェスィーが無事ならそれでいい」
「良くありません! 兄様は私を優先し過ぎです! 私だって兄様を助けたいんです!」

 プリンツェッスィンは珍しくヴァールに対して啖呵を切る。

「……じゃあ、助けてくれる?」
「え?」
「多分かなり強い媚薬だと思うんだけど、心と反して体は反応しちゃってね。ツェスィーでイきたいんだ」

 ヴァールは少し困ったような照れた顔をし、プリンツェッスィンにお願いをした。

「兄様……。分かりました。ここでは何なので、部屋に行きましょう?」

 プリンツェッスィンは詠唱し、ヴァールを連れて自室へ転移する。

「兄様、失礼しますね」

 プリンツェッスィンは二人でヴァールの部屋に転移したあと、彼に浮遊魔法をかけベットに移動した。そして彼の下履を脱がし、生まれたままの姿にさせる。

「兄様のココちゃんと見たの初めてです……」
「ちょっと恥ずかしいな」

 プリンツェッスィンは頬を染め、ヴァールは照れ笑いをした。

「お口で御奉仕しますね」
「うん。お願い」

 プリンツェッスィンにフェラされるのは初めてで、ヴァールも鼓動を早くする。

「ん……。にいひゃま、きもひいいでふか?」

 可愛い従妹の小さな口がヴァールの肉棒を咥えた。ぺろぺろと裏筋を舐めたり、先を口に含んで扱き、御奉仕する。慣れない様子で甲斐甲斐しくしていく様は、扇情的でヴァールのそこを更に大きくさせた。

「気持ち、いい。んん、はぁ……。あっ!」

 ヴァールは艶っぽい嬌声をあげる。そして媚薬を盛られたせいもあり、すぐプリンツェッスィンの口内へ吐精した。

「兄様の味、初めて味わいました……」

 プリンツェッスィンはごくんとヴァールの精液を飲み込む。

「ごめんね! 不味かったでしょ? 今口の中を綺麗にする魔法かけるから」
「魔法をかけなくて良いです」
「え?」

 まさかのプリンツェッスィンの返答にヴァールは固まった。

「私、兄様の味好きですから」
「え?!」

 今度は驚き大きな声を出す。

「だから大丈夫ですよ。なので、また飲ませてくれますか?」

 プリンツェッスィンは照れながらコテンと首を傾げた。

「ツェスィー……。あんまり可愛いこと言わないでくれる? 自制効かなくなるから……」
「ふふ、我慢してください。これは兄様が独断で令嬢について行った罰です」
「はい……」

 可愛い愛しの従妹に怒られ、ヴァールは首をすくめる。

「ところで兄様、お話があるのですが……」
「ああ、何か話すことがあるんだよね?」

 プリンツェッスィンは今日話したかったことの本題に入った。

「私たちは遺伝子的に兄妹ではなくちゃんと従兄妹ですよ」
「え?」

 ヴァールの目が点になり、ポカーンと口を開けたままフリーズする。

「これを見てください」

 プリンツェッスィンは医師に書いてもらった証明書を見せた。

「二卵性双生児……? え! そんなことあるの?!」
「はい」
「そっかぁ……。ツェスィー、ツェスィー……。ありがとう。これでツェスィーと結婚出来る……。ごめんね、待たせて」

 ヴァールは目に涙を浮かべながら、プリンツェッスィンにお礼を言う。

「絶対幸せにします。僕と結婚してくれますか?」

 そして、もう一度言わせてとプリンツェッスィンに三回目のプロポーズをした。

「はい、喜んで」

 プリンツェッスィンもヴァールに釣られて涙を流す。二人はそっと唇を合わせた。

「そして待たせたことは良いんですよ。兄様、ありがとうございます。ずっと私のことを守っていてくれたんですよね。本当はしたかったのに、我慢してくれてたんですよね」
「うん……。でも、どう転んでも今夜抱くつもりでいたよ?」

 えへへとヴァールは照れたように笑う。

「そのことなのですが……。私は結婚してから初夜に兄様と結ばれたいんです」
「え……?」

 プリンツェッスィンにまさかこんなことを言われるとは露も思わず、ヴァールはまた目が点になった。

「結婚できるのなら、ちゃんと王族として務めを果たすべきだということです」
「……はい」

 ヴァールはシュンとしてプリンツェッスィンに言われたことを承諾する。

「大丈夫ですよ。すぐ婚約発表して、一ヶ月もすれば夫婦になれますから」

 プリンツェッスィンはふふふと花のように笑った。ヴァールもその顔を見て、破顔したのだった。