僕は、電車に乗っていた。


いつもの時刻の朝の電車。



満員電車の人込みに押し潰されながら、ふと、思った。



”僕は、毎日、なにをしているのだろう・・・”



勉強が、特に好きでも嫌いでもない。



部活は、興味のあるものがなかったので、何もしていない。



”このままで、いいのだろうか・・・”


僕は、吐息をついた。






僕は、いつもの駅で降りることはなかった。



何となく学校へ行く気持ちがしなかった。



そして、次の駅で電車を降りた。






そこは、まるで別世界だった。



その駅には、今まで降りたことはなかった。



そこは、新しい物に満ち溢れていた。



いや、ただそう見えただけなのかも知れない。



都心に行けば、これくらいは当たり前だ。



ただ、大きくいつもの駅と違うのは、駅前に



緑豊かな広い公園があることだった。







「ねぇ、君」


「えっ・・・」


僕は、その声に目をきょとんとさせた。



その声の持ち主は、僕と年齢が似通った女の子だった。


僕と同じ学校の制服を着ている。



「こんな所で何してるの?」



「えっ・・・いや・・・昼寝だけど・・・」



「昼寝にしては早すぎない? ここの公園には、いつも来るの?」



「いや、初めて・・・」



「ここで寝転がってたら、気持ちいいでしょ?」



「そうだね」



「私もここが好きなんだ・・・」



「そっか・・・」







「私、もうすぐ死ぬの・・・」



「えっ・・・どこか病気なの?」



「嘘・・・」



「なんだ・・・そんな嘘なんてつくもんじゃないよ」



「このノートあげる」



「大事なものなんじゃ・・・」



「もう、頭の中に授業の内容は全部はいってるから、要らないの」



「そう・・・」



「キスしてあげる」



「えっ・・・」



突然、彼女は、僕の唇にキスをした。



「えっ、えっ、えっ!?」



「元気でた? 元気でたのなら、学校行きなさい」



「は・・・はい・・・」




「待って」

僕は、呼び止められた。


「なに?」


「それとも、一緒に行かない?」


「どこへ?」


「世界の果てまで」




               END