四月。それは新しい生活の始まり。私、東雲芽衣(しののめめい)は明日から学ぶ教室の窓を見つめる。桜の花はほとんど散ってしまっていて、遠くには住宅街が見えた。

私は今日、このS高校に入学したばかりの一年生だ。真っ白なセーラー服は新しくて、ドキドキ胸が高鳴っていく。不安なことはまだたくさんある。でも今日を無事に終えることができてよかった。

S高校は高校だけど専門学校っぽい。専門のコースを選択して学ぶことができる。選ぶことができるのは、調理と美術、そして福祉と情報だ。私は美術コースを選択し、ここに入学した。

S高校に進学したのは私だけ。中学の友達はみんな別の高校。だから私は高校では一人だ。新しいコミュニティを築いていかなくちゃいけない。

「ちゃんと友達できるかな……」

一人の教室でポツリと呟く。美術を学びたいから進学することを決めたけど、人の輪の中にちゃんと入れるか不安だ。変に人見知りしちゃう時があるからな……。